次の日、まめおはスーの所へ…。
まめお「スー…昨日は悪かった…。」
スー「……………。」
まめお「俺、お前の不安な気持ちも気付ねぇで自分の気持ちばかり押しつけて…本当にごめん…。」
スー「……………。」
まめお「けどさ、俺も今日からお前の事を全力でサポートするから…一緒に頑張って行こうぜ。」
スー「……………。」
まめお「…スー?」
いつまでも俯いたまま口を開かない彼女に、まめおは不思議に思い手を取ろうとすると…。
スー「…ごめん…あたし、しばらく1人で練習したい。だからまめおは何もしないで…。」
まめお「!!」
驚いて青い瞳を見開くまめお…
無理も無い、目の前でスーに事実上『拒否』されたのだから…
スー「…まめおの気持ち、凄く嬉しい…でも、これはあたしの問題だから…。」
まめお「何でだよ…1人で抱えなくても2人で一緒に…」
スー「だから1人でやるって言ってるでしょ!」
まめお「…お前、俺がどれだけ心配して力になりたいって思ってるか全っ然分かってねぇ!」
スー「…あんたの気持ちが、今のあたしにはありがた迷惑なのよ!」
まめお「そうかよ!なら勝手にしろ!」
スー「言われなくてもそうするわよ!」
こんなつもりでは無かったのに…2人はお互いを大事に思うあまりに気持ちがすれ違い、喧嘩をしてしまった…。
まめおはハイカラシティのロビーに入って行き…スーはハイカラスクエアへ向かってしまった…。
その日以降…スーは何日もまめおと会わずにひたすら1人でテスラを手にナワバリに行き、まめおもスーに会わずに過ごす日々が続いた…。
まめみ「まめお…スーちゃんとこの前喧嘩して以来…ずっと寂しそう…。」
ポナ「スーもまめおも、お互いを思うあまりに意地張っちゃってるんだと思う…。何も出来なくて歯痒いけど…俺達は様子見るしかないよ…。」
まめみ「うん…。」
悲しそうなまめみを、ポナは優しく抱きしめた…。
その頃ハイカラスクエアでは…
スー「…あと一勝で…サイコーになれたのに…どうして…どうしてなの…っ…!」
チョーシサイコーにならなければ、相棒ブキであるテスラを極めたとは言えない様な気がして…みんなにも…恋人であるまめおの足も引っ張ってしまう…スーはそう考えて焦っていた。
それから1週間後…まめおはハイカラスクエアに来て、スーとは顔を合わせずあるブキを手にナワバリに向かった…。
彼女の相棒ブキ、テスラである。
まめお「(スーの気持ちになれば…頼むぞテスラ…。)」
彼女の苦戦している縦振り…不意討ちされやすい立ち回り…それら全てを自身で確かめながら、まめおはテスラを振り続けた…。
それを観客席から見ていたポナとまめみ…。
ポナ「まめお…スーの為に自身もテスラを…。」
まめみ「…っ…!!」
ポナ「まめみ!?」
まめみはロビーを出て、ブキチのお店の試し打ち場で練習中のスーの元へ向かった。
まめみ「スーちゃん!」
スー「まめみ!?」
ポナ「まめみ、待って…!」
スー「ポナも…2人共どうしたの…?」
驚いているスーに、まめみはこう切り出した。
まめみ「スーちゃん…1人で抱えないで…もっと…もっとまめおを頼って…。」
スー「まめみ…でも…あたし…。」
まめみ「分かってる…スーちゃん、まめおに迷惑かけたくなくて、1人で練習してるんだよね…?」
スー「…っ…!」
ポナ「まめみ…気持ちは分かるけどそれはスーとまめおが決めた事だよ…。」
まめみ「それも分かってる…けど…けどもう見てられないの…!まめおもスーちゃんも…本当は会いたいのに…一緒に頑張りたいのに我慢して…1人で抱えてつらそうなの…見てられないの…!」
ポナ「まめみ…。」
スー「…まめ…み…。」
まめみ「…まめお…テスラを担いでナワバリしてるの…。」
スー「まめおが…!?」
まめみ「縦振り…立ち回り…何度も何度もナワバリをして、スーちゃんと同じ気持ちに…少しでもスーちゃんの力になりたいって…まめおも1人で頑張ってる…!」
スー「まめお…!」
ポナ「スー、チョーシの事…気にしてるんだよね…?」
スー「…うん…みんなチョーシサイコーになってるのに…あたしだけ…このままじゃテスラ使いとは言えないんじゃないかって…。」
ポナ「そんな事無いよ、チョーシがサイコーじゃないからって…それが全てではない。」
スー「そう…なの…?」
まめみ「そうだよスーちゃん、大事なのはそのブキへの愛だと思うの。」
スー「ブキへの…愛…?」
まめみ「スーちゃんはテスラが大事な相棒ブキだよね、その思いがあれば十分だよ。大事なのは、ブキと一緒に自分が楽しむ事だと思うの。」
ポナ「まめおも同じ事を言うと思うよ、そして今は…スーと一緒に楽しんで試合する事を何よりも望んでるんじゃないかな。」
スー「まめみ…ポナ…そう…そうよね…あたしったら…どうしてこんな大事な事を…。」
まめみ「まめお、スーちゃんの事をずっと待ってるよ。」
ポナ「スーが会いに行ったら、まめおはすごく喜ぶと思う。」
スー「ありがとう…2人共、あたし、吹っ切れたわ。」
そう言って前髪を掻き上げたスーの表情は穏やかで、口元は優しく笑っていた。
まめみ「スーちゃん…。」
スー「まめおの所へ行って来る。」
そう言うとスーは練習場を出て行った。
まめみ「よかった…。」
ポナ「まめみの言葉が、スーを動かしたんだよ…すごいよ、まめみ。」
そう言うとポナはまめみを抱きしめ、まめみも嬉しそうにはにかみつつポナの背中に手を回した。
一方、まめおの元へ向かうスーであったが…その前にあるお店の前で足を止めた。
スー「……………!」
その瞳には強い決意が籠もっていて…彼女は扉のドアノブに手を掛けた。
そこからしばらくして…
まめお「ふぅ…。」
ずっとナワバリを続けていたまめおが休憩の為にロビーを出てきた。
すると…
スー「お疲れ様、まめお。」
まめお「……………!」
疲れて俯き気味だったまめおは、驚いて顔をあげたが…
スー「ふふっ。」
まめお「スー…お、お前…!?」
目の前のスーを見て、まめおは驚いた。
彼女のゲソは短く…ショートカットになっていたのだ。
スー「どう、似合う?」
まめお「あ…あぁ…!」
スー「ふふっ、よかった。」
まめお「でも…お前…何で…?」
スー「…まめみから聞いたの、テスラを担いで試合して…あたしの為にまめおも頑張ってくれてた事…。」
まめお「まめみが…。」
スー「ポナとまめみに言われて気づいたの。あたし…チョーシサイコーになる事だけに囚われて…そうしないとみんなに…まめおに迷惑かけて足引っ張っちゃうって…1人で抱えてた…。」
まめお「スー…馬鹿だな…そんな事心配してんじゃねぇよ…。」
スー「あたしはテスラが大切な相棒ブキ…だからこれからもそれを貫くわ、チョーシサイコーになる事だけが全てじゃないから。」
まめお「あぁ、そうだぜ。」
スー「…ごめんねまめお…。」
まめお「…全く…しょうがねぇ奴だな。」
そう言うとまめおはスーを強く抱きしめ、頭をくしゃくしゃになるまで撫でた。
スー「ふふっ…頭ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃない…。」
まめお「へへっ…これからは、一緒に頑張ろうな。」
スー「…うん。」
そう言うとスーはまめおから離れ…
グイッ!まめおの着ていたシャツノゾキブルーの襟を引っ張ると…
ちゅっ…
まめお「……………!!」
大胆なキスをした。
スー「…今夜、泊まりに行っていい?」
まめお「…つまり……?」
スー「…久々に、ね…?」
まめお「あぁ、もちろんいいぜ!」
青い瞳をキラキラさせながら嬉しそうなまめおに、スーも穏やかな笑顔を見せた。
スー「先に帰ってて、あたし、着替えとか持ってから行くから。」
まめお「大丈夫か?もうすぐ夕方になるし俺が迎えに行くぞ?」
スー「大丈夫よ、楽しみに待ってて。」
まめお「ん、分かった。それじゃあ待ってるぜ。」
スー「うん。」
2人はハイカラシティへ戻り、広場で一旦別れた。
その後まめおは家に戻り、自分の部屋を片付けて準備をし…スーは着替えをバッグに詰めてスルメさんのお店を出た。
辺りは暗くなり始めていて…少し星空も見え始めていた。
急がなければ…そう思って足を速めたその時!
謎の男「見つけたぜ、スー!」
スー「!?」
謎の男「おっと…声出すなよ。」
ドスッ!!
スー「かっ…はぁ…っ…!」
腹部に強い衝撃と痛みを覚えた直後…スーは意識を失った。
謎の男はスーを抱え上げると…荷物を持って暗闇に姿を消した…。
To be continued…