小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(共存編)」~守られていた命~

ガラス戸を開けた先に居たのは…

まめお「あ、あんたは…!」

ポナ「とぐろ…さん…!?」

まめみ「えぇ…!?」

驚いたまめみもポナ達の元へ行くと…そこにはとぐろが居た。

とぐろ「夜分に済まねぇな…。」

まめみ「と、とぐろさん…どうしてここに!?とにかく中へ…!」

とぐろ「悪いな、邪魔するぜ。」

そう言うと、とぐろは家の中へ上がった。

まめみはとぐろに椅子を用意して、飲み物を出した。

まめお「とぐろさん…どうしてここが分かったんだ?」

とぐろ「昨日の話と、後はお前さん達の匂いで辿って来たんだ。」

まめみ「シャケってそこまで嗅覚が発達してるのね。」

とぐろ「そうしないと潜伏してる奴らが分からないからな。」

ポナ「確かに…俺達がいくら潜伏して逃げた所で、シャケ達は匂いを辿って的確に追いかけて来てたもんね。」

まめみ「ところでとぐろさん…シャケ子さんには…。」

とぐろ「…シャケ子には何も告げずに来た。…その代わり、あっしの幼馴染みに手紙を書いて…シャケ子を託してきた。」

まめみ「そんな…!シャケ子さんびっくりするし悲しんじゃうよ…!」

とぐろ「それはあっしも重々承知してる…けどこうなった以上、シャケ子まで危険な目に遇わせる訳にはいかねぇ…。」

まめみ「でも…。」

とぐろ「新しい住処を探して…そこが見つかったらシャケ子を迎えに行って移り住むつもりだ…それまでの辛抱さ…。」

ポナ「それじゃあ…やっぱりあのバクダン…ザンナとは…。」

とぐろ「あぁ…あいつは話を聞くような奴じゃない…。」

まめみ「ごめんなさい、とぐろさん…あたしのせいでこんな…。」

とぐろ「いや、まめみ…お前さんは何も悪くない。遅かれ早かれ…いずれザンナとはこうなっていたんだ。」

まめみ「とぐろさん…。」

とぐろ「突然で悪いが…しばらくあっしをここに置いてくれねぇか…?」

まめお「俺は構わないぜ、まめみは?」

まめみ「あたしも大丈夫だよ、断る理由なんてないよ。」

とぐろ「悪いな…恩に着るぜ。」

ポナ「とぐろさんはここに居るとして…問題はバイトの方だね…。」

とぐろ「ザンナがかなり荒れている…しばらく行くのは控えた方がいいかもしれないな…。」

まめみ「あたし達は顔が知られてるからね…とぐろさんの言う通り、しばらくはナワバリだけにしておくよ。」

まめお「とりあえず…明日スルメさん達にもここに来てもらって…話し合いをした方がよさそうだな。」

とぐろ「スルメさんっていうのは…あっしの事を知ってるのかい?」

まめみ「うん、スルメさんはまめおのお父さんなの。とぐろさんの事も知ってるし、みんなとぐろさんと仲良くしたいって思ってるよ。」

とぐろ「そうか、それなら安心したぜ。」

ポナ「今日は遅いし、ひとまず休もうか。」

とぐろ「そうだな…あっしも泳いできて疲れたからな…。」

まめみ「とぐろさんはどこで休めばいいかな…。」

そう言ってまめみが立ち上がると…

ドスコイまる「キュ…。」

まめみ「あれ、ドスコイまる…起きちゃった?」

ドスコイまる「キュ…キュ…。」

眠そうにゆらゆらしているドスコイまるを、まめみは優しく抱き上げた。

とぐろ「…この子がドスコイまるか…。」

この匂い…その顔立ち…ヒレの傷……

そうか…この子が………

やっと…やっと見つけた……

まめみ「あ、また寝ちゃった…。」

腕の中で優しく眠るドスコイまる…しかしまめみが下ろそうとすると寝ぐずりをして嫌がる…。

とぐろ「まめみ…あっしがこの子を引き受けるぜ。」

まめみ「とぐろさん…うん、分かった。」

そう言うとまめみはとぐろにドスコイまるを渡し、とぐろは優しく抱きながらゆらゆらと揺らした。

そしてそっと下ろすと…とぐろにピッタリとくっつきながら…安心しきった表情で眠っていた…。

とぐろ「無事に寝たみたいだな。」

まめみ「ありがとう、とぐろさん。」

とぐろ「いいって事よ、あっしはここで休むからお前さん達も休んでくれ。」

まめみ「うん、おやすみとぐろさん。」

まめお「おやすみ。」

ポナ「おやすみ。」

とぐろ「おやすみ、良い夢を。」

3人が部屋に戻り、とぐろは眠っているドスコイまるの傍で丸くなり、愛しの妻シャケ子の事を想いながら眠りについたのだった…。

To be continued…