小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(共存編)」~別れ~

とぐろは家へ戻った。

シャケ子「お帰りなさいダーリン、今日もお疲れ様。」

とぐろ「あぁ…ただいま…。」

シャケ子「何だか元気がないけど…?」

とぐろ「いや、大丈夫だ…。」

シャケ子「本当に大丈夫…?」

とぐろ「あぁ、大丈夫だ…。…まめみ達に会って来た。」

シャケ子「あら、まめみちゃんがいたのね。」

とぐろ「元気そうで安心した…シャケ子にも会いたがってたよ。それにまめみの従兄や友達…恋人もいて…あっし達と仲良くなりたいと言ってくれてたよ。」

シャケ子「嬉しいわ~!こうやって少しずつ交流を深めていけたら嬉しいわね、ダーリン。」

とぐろ「………………。」

シャケ子「ダーリン…?」

とぐろ「…ん…あぁ…そうだな。」

シャケ子「何だか変よ、ダーリン…。」

とぐろ「…今日は疲れが大きいみたいでな…風呂に入ってくる。」

シャケ子「えぇ、分かったわ…。」

とぐろ「シャケ子…今日は久々に、お前さんの作る卵焼きを食いたい。」

シャケ子「ふふっ、任せといてダーリン。」

そう言うとシャケ子は張り切って台所へ行き、とぐろは浴室へ向かった…。

浸かる浴槽のお湯は温かくて…とぐろはゆったりと浸かりつつ…今夜で最後となるこの光景を目に焼き付けた。

その後夕食へ…。

とぐろ「…ん、美味い。」

シャケ子「ふふっ、いつも以上に腕によりをかけたもの。」

とぐろ「シャケ子の作るご飯は世界一だ。」

シャケ子「まぁ、ダーリンたら。」

弾む会話、シャケ子の笑顔…温かい食事…

夫婦だけの水入らずの幸せな時間…

それも…今夜で最後……

夜…シャケ子がぐっすりと眠っているのを確認したとぐろは…布団を畳み、愛用のパイプをヒレに取り、シャケ子との写真…小物を少し袋に詰めた…。

そして…リビングに来て座り、ペンでテツに手紙を書き始めたが…

ポタッ…とぐろの目から一粒の涙が零れ落ちた…。

シャケ子…

済まない……ふがいないあっしを許してくれ……

……………

あっしは…新しい住処を探して…お前さんを迎えに行く…

その時は…シャケ子……

お前さんとあっし…2匹だけで……静かに…そして穏やかに…幸せに暮らそう………

とぐろは涙を拭い手紙を書き終えると、そっと外へ出た…

そして、家の外に置いてある…ヘビの機械を優しく撫でると、荷物を持って海に入っていった。

その後…テツの家の前の郵便受けに手紙を入れ……

姉ヒュドラーの墓の前でヒレを合わせた後………

海の中へと姿を消した。

一方まめみ達は……

まめみ「………………。」

あの後ハイカラシティへ戻り、スーと別れてポナと3人で家に戻り…まめみはずっとうさぎのぬいぐるみ「リラビット」を抱きしめたまま…ソファでうずくまっていた。

そして…まめおとポナも…傍でそっと寄り添うしか出来なかった…。

ふと顔を上げると、少し離れた場所ではクッションの上でドスコイまるが気持ちよさそうに眠っていて…

とぐろとの事…ザンナの事を思い出してまめみの胸は締めつけられた。

すると…ポナが口を開いた。

ポナ「…まめみ…気持ちは分かるけど…今日は休もう…?」

まめお「…ポナの言う通りだ、まめみ…今の俺達には待つ事しか出来ねぇよ…。」

まめみ「…うん…そう…だね…。」

か細い声で返事をするまめみは酷く落ち込んでいて…ポナとまめおも苦しくなる…。

それでもゆっくりと立ち上がり、部屋へ向かおうと歩き出したその時…

コンコン…家の裏側…海の方向からガラス戸を叩く音がする…

まめお「こんな時間に何だ…?」

まめみ「それに…あっちは海の方向…誰も来ないはずなのに…。」

ポナ「俺が見てくるよ…ここで待ってて。」

まめお「俺も行く。」

まめみ「ポナ君…まめお…。」

不安なまめみだが、ポナの言う通りその場で様子を見守る事に…

そしてポナがN-ZAP85を構え、まめおがガラス戸を開けると…!

To be continued…