あの一件から早2週間が過ぎようとしていたある日…
ポナ「本当に大丈夫、まめみ?」
まめみ「うん、それにとぐろさんともお話したいし…。」
まめお「今度は俺達も一緒にいる…お前を1人残したりしねぇ。」
スー「今回はあたしも一緒にいるからね。」
まめみ「ありがとう、まめお…スーちゃん。」
ポナ「もちろん俺も傍にいるよ、まめみの傍を決して離れたりしない。」
まめみ「ありがとう、ポナ君。」
優しく手をぎゅっと握ってくれたポナに、まめみは安心感を覚えた。
そして4人は着替え、今回のバイト先であるトキシラズいぶし工房へと向かった。
同じ頃…とぐろもまた、機械の手入れをして準備をしていた。
しかし…その様子を影からこっそりと伺っていたのは…
ペルファング「………………。」
いつも通り必要以上の金イクラは集めずにノルマをこなし、バイトを終えた後にクマサンに連絡をして少し迎えを遅くしてもらう事にした。
海の前に立ち待っていたまめみ達…
すると…
とぐろ「まめみ。」
まめみ「あ、とぐろさん!」
辺りをキョロキョロと見渡してからゆっくりと陸に上がり、お互いに優しく笑い合った。
とぐろ「久しぶりだな、まめみ。あれから大丈夫だったか?」
まめみ「うん、無事に家に帰れたよ。本当にありがとう、とぐろさん。シャケ子さんは元気?」
とぐろ「あぁ、元気だぜ。お前さんに会いたがってたよ。」
まめみ「元気そうでよかった…あたしもまた会いにいきたい。あ、紹介するね…従兄のまめおと彼女のスーちゃん、そしてあたしの恋人のポナ君だよ。」
まめお「初めまして…ではないけど、こないだはまめみを助けてくれてありがとう。」
スー「あたしは初対面ね、初めまして。」
ポナ「まめみから話は全部聞いたよ、俺達もシャケと仲良くしていきたいと思ってるよ。」
とぐろ「よろしくな、少しずつでもこうして交流が増えていければあっしも嬉しいぜ、それに姉貴の願いでもあったからな…。」
その後…お互いの文化を話しながら会話は弾み、時間はあっという間に過ぎた…。
すると…クマサンからの連絡が来た。
クマサン『そろそろ日が暮れる…迎えの船を出すから帰っておいで。』
まめみ「うん、分かった。」
通信を切った後、まめみはとぐろと握手を交わし、迎えの船が来る方向へと向いた。
すると…とぐろが口を開いた。
とぐろ「まめみ。」
まめみ「どうしたの、とぐろさん?」
とぐろ「あっしがお前さんに初めて話しかけた時の事を覚えてるか?」
まめみ「うん、覚えてるよ。」
とぐろ「あの時に聞けなかった事…今聞きたい。」
まめみ「うん、分かった。何が知りたいのかな?」
とぐろ「あの時…お前さんからシャケの匂いがしたんだ。あの時に戦ってたシャケ達とは違う奴の匂いが…。」
まめみ「あたしから?あ、もしかして…ドスコイまるの事かな。」
とぐろ「ドスコイまる…?」
まめみ「うん、酷い怪我をしてた赤ちゃんのシャケを保護して、傷が治るまで一時的にあたし達の家で保護してるの。」
とぐろ「そいつ…もしかし…」
そう言いかけたその時!
ペルファング「やはりお前がイカを匿っていたのか、とぐろ!」
恐ろしい声音が響き、海の方を振り返ると…
そこにはペルファングがいた!!
まめみ「この声…あの時のバクダン…!」
とぐろ「ペルファング…今日は非番のはず…!」
ペルファング「お前の動きを最近ずっと監視していた…非番だからといって油断したようだな。」
とぐろ「……………!」
ペルファング「さて…裏切り者と分かった以上、それなりの罰を与えねばならないな…。」
とぐろ「…何をする気だ…。」
ペルファング「あのお方が留守で居ない以上、俺がお前を裁く他にあるまい…目の前に居るイカを全員殺せ。」
とぐろ「なっ…!?」
ペルファング「貴様がイカ共を殺せば、我が一族に戻ってくる事を許そう。」
とぐろ「ペルファング…!」
まめみ「やめて…もうやめてよ!どうして…仲間じゃない…!」
とぐろ「まめみ…!」
ペルファング「黙れ!ならば俺が貴様を始末してやる!」
そう言ってペルファングはまめみに対して牙を剥き、威嚇を始めた!
まめお「話が通じねぇようだな!」
スー「そっちがその気なら、あたし達も容赦しないわよ!」
ポナ「下がってまめみ!」
そう言うと3人はブキを構えた!
まめみ「みんなもやめてよ!これじゃあ…あたし達ずっと分かり合えないよ!!」
ポナ「まめみ…。」
まめみ「違うよ…こんなの違う…悲しいよ…!」
そう訴えるまめみは今にも泣き出しそうな表情で…ポナ達は構えていたブキを下ろした。
とぐろ「…まめみはあっしを助け、心を開いてくれたんだ。ペルファング…お前さんは全てのイカがそうだと誤解している。だがな…それは間違い…」
ペルファング「黙れ!貴様の姉…ヒュドラーの様に…貴様も甘えた考えの持ち主だったようだな!」
とぐろ「………あっしの事はいくらでも悪く言えば良い、けどな…まめみ達や…姉貴の事を侮辱するのだけは許す訳にはいかねぇ…撤回しろ、ペルファング…いや…ザンナ!!」
そう言ってペルファングの本名である…ザンナを睨みつけるとぐろ。
両者の睨み合いは続き…まめみ達は何も出来ずにただ立ち尽くす事しか出来なかった…。
ザンナ「………貴様を追放する、とぐろ…荷物を纏めて我が一族から出て行け!今夜一晩だけ時間をやる、シャケ子にも別れを告げてくるんだな!!」
そう言うとザンナは海の中へと戻って行った…。
まめみ「とぐろ…さん…!」
とぐろ「…あっしがやった事は…裏切りに当たるのは事実だ…。…一度戻る、済まないまめみ…。」
まめみ「とぐろさん…シャケ子さんは…シャケ子さんは…!」
とぐろ「…大丈夫だ、シャケ子は必ず守る。…また会おう、まめみ…そしてまめお、スー、ポナ…。」
そう言い残して、とぐろは一度も振り返らずに海の中へと姿を消した。
4人はそれをただ見ているしか出来ず…項垂れるまめみをポナは優しく抱きしめ、迎えの船に乗って戻って行くのだった…。
To be continued…