ある日の朝…いつも通りの時間にシャケ子が目を覚まし、朝ご飯の支度を始める。
その後…少し遅れてとぐろが目を覚ました。
シャケ子「あら、おはようダーリン。」
とぐろ「おはようシャケ子、今日も相変わらず可愛いな。」
シャケ子「うふふ、ダーリンったら…ありがとう。」
そう言って頬を赤らめて嬉しそうに笑う妻を見て、とぐろも自然と笑顔になる。
ヘビ部隊の隊長でもあり新人のタマヒロイ達や後輩の面倒も見るとぐろ、姉ヒュドラーを亡くした今はシャケ子が唯一の家族であり…彼が気を許して何でも話せる数少ない存在でもあるのだ。
シャケ子はシャケ一族でも一番と言われる程の美人で、ライバルも多かった。
しかしとぐろは、何よりも彼女の包容力のある優しさに強く惹かれていたのだ。
そしてシャケ子もまた自分をいつも気にかけて守ってくれるとぐろに強く惹かれ、めでたく夫婦となった。
家族を守る為、とぐろは今日も仕事へと向かった。
休憩中にとぐろがパイプを加えて休んでいると…
「とぐろー!」
自分を呼んで向かってくるシャケが1匹…とぐろの幼馴染みでテッパンの「テツ」である。
とぐろ「お~テツ、お前さんも休憩か?」
そんな事を言いながらヒレをヒラヒラと振り、テツも嬉しそうにヒレを振り返しながらクルマで突っ込んで来るが…
「とぐろ先輩、テツ先輩ー!!」
そう言って突然飛び出して来たやや小さめのシャケ…
タマヒロイの「タマ」である。
テツ「た、タマ危ねぇ!」
ドカーン!!
タマ「ぎゃふん!」
テツ「ぎゃータマー!!」
飛び出して来たタマを避けきれず、テツのクルマがそのままタマを吹っ飛ばしてしまい…彼はそのまま宙を舞って…
ボチャン!!海に落ちた。
とぐろ「お前さん達…相変わらずだな…。」
いつもの変わらぬ光景に、とぐろは苦笑いしつつパイプを離してフーっとした。
そしてその泡はプカプカと浮かんでパチンと消えた…。
その後…テツと戻って来たタマも含めて休憩しながら話も弾み、和やかな時間が過ぎていった。
しかし…とぐろ達が午後の仕事を始める前…何やら不穏な空気が漂っていた…。
その不穏な空気の正体は…ペルファングである。
何やらまたもやマナーの悪いイカに当たった様で…抑えきれない怒りを海の中で暴れ回る事で発散していたのだ…。
タワー「ペルファングの奴…また荒れてるな…。」
コウモリ「触らぬ神に祟り無し…傘の中に籠もってるのが一番さ…。」
とぐろ「…やれやれ…あいつまた荒れてるな…。」
テツ「俺らにとっては慣れたモンだが、同じオオモノシャケでもあいつと同期なのは俺達くらいだからな…他のモンがビビっちまう…。」
ペルファング「グルルルル…おのれ…憎きイカ共め……!右目の傷が疼く…必ずや根絶やしにしてやる…!」
そう言って口に咥えた機械をガミガミと噛めば、頭の上の袋が膨れあがり…大きなバクダンが出来上がるのだった…。
しかし…不穏な空気なのはこれだけではない…
先日のシャケト場での一件だ。
ペルファングは内心はまだ納得はしておらず…他のシャケの間でも…どこかにイカと通じている者がいるのではという噂が流れて皆が少しピリピリしているのだ…。
そこに加えて…一族の長がタコワサの所へ出かけた故にしばらく不在なのもあり…シャケ達の統率力は乱れ始めていた…。
このままでは正直、いつ内部抗争が起きてもおかしくない状況なのだ。
とぐろも顔には出さないが、内心穏やかでは無かった。
まめみ達との交流も深めたい一方で、危険が及ぶ恐れもある…
もしバレれば…自分はおろかシャケ子もどうなるか分からないだろう…それだけは避けたい…。
それに…まだまめみに聞きたい事がある…
出会って間もない頃…まめみの体に付いていた「あの匂い」…
産まれたばかりの我が子と同じ匂いを付けていたまめみには…話を聞いて少しでも情報を得たいのだ。
どうかこのまま…何も起こらず平穏な日々に戻ってくれ…
今のとぐろにはただ、祈るしか出来なかった。
To be continued…