クマサン商会を後にして、まめお達は急遽スルメさんのお店へ向かった。
そして事情を話し、起きてきたフーとスーも加わって全員が1つの部屋に集まった。
スルメさん「エライ事になってたんやな、まめみ…!」
よっちゃん「でも無事で本当によかったわ…!」
そう言うと、よっちゃんはまめみを抱きしめて頭を撫でた。
まめみ「よっちゃん…!」
まだ少し震えつつも、まめみはよっちゃんの背中へ手を回した。
すると…ポナがこう切り出した。
ポナ「まめみ、少しずつでいいから聞かせて…一体何があったのかを…。」
まめみ「ポナ君…。」
ペコ「ポナ…気持ちは分かるけど、まめみもまだ落ち着いてないのに…。」
まめみ「ううん…大丈夫だよペコちゃん…。」
まめお「話せそうか…まめみ?」
まめみ「うん…ちゃんと話す…何があったかを全部話すよ…。」
そう言うと、まめみは深呼吸をして…ゆっくりと話し始めた。
シャケト場でとぐろに助けられ、彼の家で妻のシャケ子と共に介抱された事…
とぐろが語ったイカへの思いと亡き姉ヒュドラーの事…
マナーの悪いイカによって傷つけられたシャケの一派による威嚇行動…
家に来たバクダンから自分を匿い、安全を考慮して送ってくれたとぐろとシャケ子の優しさ…
全て包み隠さず話し、全員が真剣な表情で聞いていた。
ポナ「とぐろさん…だっけ…そんな事情があったんだね…。」
まめお「マナーの悪いイカ…全員がそうじゃねぇけど…それでも一部の奴らがやった事が…シャケ達にも深い傷を負わせてたんだな…。」
ペコ「でも…それで相手もこちらを無関係に傷つけてしまってたら何も変わらない…分かり合えないままよ…。」
スルメさん「こればっかりは何とも難しい問題やな…。」
よっちゃん「そうね…私達が危害を加えないと伝えても…向こうがそれを聞き入れてくれない以上は…。」
スー「何とかならないのかな…兄貴…。」
フー「…シャケの事も難しいが…そもそもクマサン商会自体が法に触れるギリギリのラインを踏む企業なのも問題ではあるな…。」
まめみ「どういう事…フーさん…?」
フー「クマサン商会…表向きは明るくサポートが充実した働きやすい職場環境をアピールした企業…だが社員に会った事がある者は1人もおらず、その企業内容や目的…そもそも会社なのかさえも不明なんだ…。」
ポナ「え…!?」
フー「俺も最初は気づかなかったが、職場で話題になった時に上司から聞いたんだ。現に調査には入ったが…ギリギリのラインではあるものの、法に触れて居ない以上は取り締まりも出来ないから最低限の注意はした方がいいとの結論だったがな。」
まめみ「…とぐろさんやシャケ子さんみたいに…あたし達との共存を望むシャケもいる…クマサン商会がどうであっても…たとえ種族全体で分かり合う事が出来なくても…あたしと…とぐろさん達は分かり合えたよ…個人同士では…分かり合えるよ…。」
ポナ「まめみ…。」
まめみ「あたし…諦めない…諦めたくない…どんなに可能性が低くても…危険でも…いつか気持ちが届くって…信じたい。」
まめお「…まめみ…お前、そういう所は相変わらずだな…。」
ポナ「でも、それがまめみのいい所の1つだよ。」
まめお「あぁ、そうだな。誰よりも真っ直ぐで優しい…それがお前だ、まめみ。」
まめみ「まめお…ポナ君…。」
スー「1人で抱えないのよ、まめみ…あたし達も一緒よ。」
ペコ「まめみだけじゃない、私達もシャケと仲良くなりたいわ。」
まめみ「スーちゃん…ペコちゃん…。」
フー「俺もだ、まめみ。種族を超えて仲を深めたいと思う事に…企業や法律は関係無いからな。」
スルメさん「お前達らしいな、そしてボクらはそんなお前達を応援するで。」
よっちゃん「えぇ、とぐろさん達にもまめみちゃんの思いが伝わったんだもの…時間がかかっても必ず分かり合えるわ。」
まめみ「フーさん…スルメさん…よっちゃん…ありがとう…みんな…。」
感謝の気持ちを述べて涙を拭い、優しく笑ったまめみに…みんなも優しい笑みを返した。
一部のイカによって傷つけられてしまったシャケ達の心の傷は…イカに対する憎しみは深く大きい…
でも…時間をかけて伝え続ければ…いつかきっと届くよね…
諦めないよ、あたし達…
頑張るからね…とぐろさん…シャケ子さん…。
そして…共存を望んでいた…ヒュドラーさんの思いも…叶えてみせる。
To be continued…