小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(試練編)」~過ぎった不安~

まめみがツネと過ごしている頃…ポナはまめおとナワバリをしていた。

まめみも誘ったが、この日は用事があると言う事で断られてしまったのだった…。

しばらく試合を続け、終わった後の帰り道…

ポナ「え、まめお…この前の話をまめみからまだ聞いてないの?」

まめお「あぁ…あの頃は連休なのもあって店がすげぇ混んじゃって、フェスの前日までスルメさんの店に泊まってたんだよ。」

ポナ「そうだったんだね…俺からはとりあえず孫の話だけはしたけど、2人の一族の事に関しては今日こそまめみと話せるといいね。」

まめお「そうだな、それにしてもタコワサに孫が居たとはな…しかもまめみと認識があるってどういう事なんだ。」

ポナ「まめみ自身も全然覚えが無いって言うし、タコワサが何か勘違いしてる気もするんだけどね。」

まめお「あのジジイならありえそうだな。」

そんな事を話しながら歩いていると…

ポナ「あれ?まめみだ。」

まめお「ん、本当だ…誰かと一緒に居るぞ?」

遠くからそっと様子を見ていたポナとまめお…

よく見ると、まめみの隣に歩いて居たのは…ツネ!

ドクン…ポナの心臓は大きく揺れた…

ポナ「…あいつは………!」

まめお「知ってるのか、ポナ?」

ポナ「…まめみの幼馴染みの男の子…ツネって言うらしいよ。」

まめお「幼馴染み…?そう言えば昔、俺が入院してる間に仲良くなった子が居たって言ってたな…あいつがそうなのか。」

ポナ「……………………。」

まめお「どうかしたのか?」

ポナ「…いや、何でもないよ。」

まめお「お、おい待てよポナ!」

そう言ってポナはその場を去り、まめおは慌てて追いかけて行った…。

まめみ…用事ってあいつと会う事だったの…?

一体何の目的で……

…………………

いや…まめみに限ってそんな事は無い…

まめみは俺を想っていてくれる…俺達は決して離れたりなんかしない……!

溢れる不安や嫉妬の思いでモヤモヤするポナだったが、それを沈めるかの様に何度も自分に言い聞かせ、首から下げられたペンダントに手を当てるのだった…。

まめみ「それじゃあね、ツっくん。」

ツネ「うん、今日は本当にありがとう…まめみ。」

まめみ「どういたしまして、あたしも楽しかった。」

ツネ「今度、僕の家に遊びにおいでよ…まめみならいつでも大歓迎だよ。」

まめみ「うん、ありがとう。」

ツネ「じゃあね、また…。」

そう言うとツネは帰って行き、彼を見送ったまめみは家に向かって歩き出した。

しばらく歩いて家に帰り、晩ごはんの準備をしていると…まめおが帰って来た

まめお「ただいま。」

まめみ「おかえり、まめお。」

まめお「………………。」

まめみ「どうしたの?」

じっと自分の顔を見てくるまめおに、怪訝な表情をするまめみだったが…

まめお「この前タコワサに聞かされた話を教えてくれ。」

まめみ「あ…まだ話してなかったね、ごめん…。」

まめお「先に手洗いとうがいをしてくるから、そしたら話してくれ。」

まめみ「うん、分かった。」

手洗い等を済ませ、まめおはリビングの椅子に座ってまめみと向き合った。

まめお「ポナから孫の話は軽く聞いたけど…一族の事はまめみの口からって事で…聞かせてくれ。」

まめみ「うん…実は…」

そう言うとまめみはタコワサから聞いた話を語り始めた…。

ウト族の事…その末裔が自分達とタコワサの孫の3人のみである事…

そして…その孫が自分を嫁にすると言っていて…地上へ捜しに出ている事…全てを話し、まめおは真剣な表情で聞いた後に深呼吸をして口を開いた。

まめお「そんな事が…その孫の名前や特徴は言ってなかったのか?」

まめみ「うん…向こうが1人で舞い上がってて、そのまま帰っちゃったの…。」

まめお「あのタコジジイ…どうしようもねぇな…。」

まめみ「今の所、その孫らしき人とは会ってないんだけど…。」

まめお「お前にはポナがいるし、そいつがどんなにお前を好いてても無理な話だよな。」

まめみ「うん、ポナ君以外ありえないもの。」

まめお「ポナも俺もお前を守るけど…どんな奴か分からねぇし、気を付けろよまめみ。」

まめみ「うん、ありがとう。」

まめお「それともう1つ…今日ポナとナワバリに行った帰り、お前が誰かと歩いてるのを見たんだ。ポナから聞いたけど、お前が昔言ってた幼馴染みなんだって?」

まめみ「うん、ツっくんとフェスの日に偶然再会したの。連絡先も交換して…今日は日用品とかを買いに行ったんだよ。」

まめお「そうだったのか。……変な事聞くけど、あいつと何かあったりしねぇよな?」

まめみ「失礼ね~何も無いよ!」

まめお「だよな、お前はポナ一筋だもんな…悪かった。」

そう言ってまめおは台所へ飲み物を取りに行った。

まめみ「もう、まめおの馬鹿…!」

そう言ってまめみは少し頬を膨らませていたが…

頭の中ではソフトクリームを食べていた時のツネを思い出して…再び胸の鼓動は速くなるのだった。

一方ポナは、家で1人ゲームをしていた

しかし…まめみがツネと歩いていた光景が何度も思い出されて集中出来ず、ゲームは失敗ばかり…

イライラが募って最終的にはコントローラーを乱暴にソファへ投げ捨て…そのままベッドへ倒れ込んだ。

ポナ「…………っ…………!」

モヤモヤとイライラで頭を掻きむしるポナだったが…

イカスマホが鳴って…まめみからのイカラインのメッセージが来た。

まめみ『ポナ君、今日は本当にごめんね。』

ポナ『大丈夫、ねぇまめみ。』

まめみ『どうしたの?』

ポナ『声、聞きたい…電話していい?』

まめみ『うん、いいよ。』

ポナ『ありがとう、かけるね。』

ピロロロロ…

まめみ「もしもし、ポナ君?」

電話の向こうの彼女はいつも通りの明るくて優しい声で、ポナは安心した。

ポナ「まめみ…明日、俺の家に泊まりに来て?」

まめみ「うん、いいよ。」

ポナ「今日会えなかった分、いっぱいぎゅってしてたい。」

まめみ「ふふっ、ポナ君の甘えんぼさん。」

ポナ「むぅ…甘えんぼな俺は嫌?」

まめみ「嫌じゃないよ、美味しいごはん作ってあげるね。」

ポナ「うん、楽しみに待ってる。大好きだよ、まめみ。」

まめみ「あたしも大好きだよ、ポナ君。」

何気ない会話…でも暖かくて大切な時間…

ポナはいつの間にかモヤモヤやイライラは収まり、彼女との通話で癒しの時間を過ごすのだった。

To be continued…