小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(試練編)」最終話~想い再び結び合い紡がれる~

同じ頃…

タコワサ『…そうか…大変であったな…。』

ツネ『うん…。』

タコワサ『ツネよ…ワシは…』

ツネ『分かってるよ、お爺様はいつだって僕の味方…何があっても大切な家族だよ。』

タコワサ『ツネ…。』

ツネ『僕は…今度は無理矢理じゃなくて…堂々とまめみと向き合いたい…今はダメでも…いつか必ず、まめみを振り向かせてみせる。』

タコワサ『さすがだツネ、それでこそワシの孫だ。』

ツネ『ありがとう、お爺様。』

ツネは優しく笑い、タコワサと抱きしめ合った。

そして…彼は再び地上へと向かって行き…

それを見送ったタコワサは…奥の暗闇へ向かって話しかけた。

タコワサ『…今回の事…騒がせてしまってすまなかった。』

すると…暗闇から姿を現したのはおシャケさま

まめみ達の行く末を案じ、居ても立ってもいられずタコワサを説得しに来たのだが…既に解決した後であった。

おシャケさま『いや、構わないよ。…試練を乗り越えた2人はもう大丈夫だろう…彼も今度は正面から勝負をするみたいだね…彼らの行く末、私達はこれからもそっと見守らせてもらうよ。』

タコワサ『おシャケ殿…御主もお節介だな…。』

おシャケさま『はは、こう見えても世話を焼くのが好きでね。』

そう話すおシャケさまとタコワサは…どことなく嬉しそうなのであった。

こうして…まめみは無事に戻り…再び平穏な日々が戻って来た。

皆は思い思いの時を過ごし…ポナとまめみも今まで以上にお互いを想い合い、気持ちを伝え合う様になった。

…1つだけ変化があったとすれば…

まめみ「ポナ君!」

ポナ「お待たせ!」

ナワバリの約束をしていた2人、ポナが少し遅れてやってきて…

まめみ「それじゃあ行こうか。」

ポナ「うん、でもその前にまめみ…。」

そう言うと、ポナはロビーの陰にまめみを連れて行き…

まめみ「ポナ君…。」

ポナ「大好きだよ…。」

まめみの頬を優しく撫でて、ポナはキスをしようとゆっくりと口を近づけたが……

ツネ「そうはさせないよ。」

ポナ「わあぁっ!!」

まめみ「つ…ツっくん!」

ツネ「僕はまだまめみを諦めたわけじゃないからね、今度は男として正々堂々とまめみを振り向かせて見せる。」

ポナ「しつこいぞツネ…俺とまめみはずっと離れない運命なの!」

ツネ「どうだか。」

ポナ「何を!?」

まめみ「も~やめてよ2人共~!」

騒動後もツネはまめみ達と行動を共にする事は多く、その度にポナの邪魔をして喧嘩になるのだった…。

地下世界ではタコワサがツネの身を案じ…

シャケト場では今日もおシャケさまがコジャケ達に話を聞かせ…

アタリメ司令やホタル、とぐろ達はポナとまめみが危機を乗り越え無事に戻った平穏に胸を撫で下ろし…

ハイカラスクエアでは、今日もまめみ達の元気な声が響き…

ポナとまめみ…2人のクローバーのペンダントは、今日も暖かい陽の光を浴びてキラキラと輝いているのだった。

そして夜…ポナはまめみとお揃いのF-190を着て、2人でモンガラキャンプ場の秘密の 場所に来た。

ポナ「寒いね…大丈夫、まめみ?」

まめみ「うん、大丈夫だよ。」

ポナ「よかった…寒いけど、今日は一段と綺麗に見えると思う。」

そう言って、ポナとまめみは一緒に空を見上げると…

まめみ「わぁ…!」

夜空の星は一段と輝き…2人は寒さも忘れて息を飲んだ。

ポナ「綺麗だね…。」

まめみ「うん、すごく綺麗…。」

ポナ「…星も綺麗だけど…まめみの方がもっと綺麗だよ。」

まめみ「ポナ君…!」

頬を真っ赤に染めて照れるまめみにポナは目を細め、優しく笑って彼女の頭を撫でた。

ポナ「まめみ…大好き。」

まめみ「ありがとうポナ君…あたしも大好き。」

そう言って2人は優しくキスをした。

すると…曇に隠れていた月が姿を現し、2人を優しく照らした。

ポナ「まめみ、いつものあれ…やってみようか。」

まめみ「うん。」

2人はペンダントを外して、そっと月明かりにかざすと…

ペンダントは月明かりでキラキラと輝いて、2人は暖かい気持ちになった。

再びペンダントを身につけて湖面を見渡せば…そこには星空が映し出されていて幻想的な世界が広がっている…

すると…湖面に流れ星が映し出された!

ポナ「あ、流れ星!」

まめみ「うん、あたしも見えた!」

2人がもう一度空を見上げると…そこには流星群が…!

ポナ「すごい…!」

まめみ「すごく綺麗…!」

ポナ「願い事した?」

まめみ「うん。」

ポナ「どんな願い事?」

まめみ「むぅ…ポナ君が先に教えて。」

ポナ「ふふっ…それじゃあ、一緒に言おうか…。」

まめみ「ふふっ…うん、せ~の…」

ポナ「まめみとずっと一緒にいられますように。」

まめみ「ポナ君とずっと一緒にいられますように。」

ポナ「同じ願い事だったね。」

まめみ「うん。」

2人の頬は真っ赤に染まっていて…まるで2年前のあの頃の様で…

懐かしさと同時に、更に愛おしさを感じて…

2人は指を絡めて…輝く夜空の元で、再び優しくキスをした。

同じ頃…ツネは自宅のベランダから1人、流星群を眺めていた。

イカスマホで写真を撮り…ある人達へイカラインでその写真を送信した。

すると…少しして返事が返ってきて…

『すっごく綺麗!地上ではこんなに綺麗な光景が見れるんだね~!あたしもいつか見てみたい…ありがとうツネ。』

『ありがとうツネ、とても綺麗で興味深い…私達の世界では見れない物ですからね…私も実際にこの目で見てみたいです。』

その返事を見て、ツネはクスッと優しく笑うのだった。

そして…シャケト場でも、シャケ達が夜空の流星群を眺めていた。

おシャケさま「流星群か…珍しいね。」

とぐろ「今日の流星群は一段と綺麗ですね。」

テツ「こういう時に飲む酒は美味いですよね、おシャケさま。」

とぐろ「テツ、お前さんは花より団子タイプだな…。」

テツ「へへっ…。」

おシャケさま「ははっ…せっかくの絶景だし、1本開けるとしようか。」

シャケ子「それじゃあ家から持ってきますね、おシャケさま。」

そう言うとシャケ子は家から大きな瓶を1本持って来て、とぐろが開けておシャケさまの持つ杯に注いだ。

おシャケさま「ありがとうとぐろ。…ん、美味しいね…さぁ、みんなも飲みなさい…楽しい方がいいからね。」

とぐろ「ありがとうございます。」

テツ「それじゃあ遠慮無く。」

シャケ子「頂きますね。」

それぞれ杯に注いで…皆は流星群と綺麗に輝く月を眺めながら夜酒を楽しむのだった。

次の日…今日もツネとポナは相変わらず些細な事で張り合ってて…まめみは少し困りつつもみんなで楽しんで笑っていて…

今日も平和に賑やかな時を過ごすのだった。

緑風と桃花は愛を紡ぐ~Fin~

海賊ダイルです。小説を読んで頂いた皆様、本当にありがとうございます!

小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(試練編)」はこれにて完結しました。

まめみの幼馴染みの少年、ツネの出現によって三角関係に…彼女を強く想うあまりに自分をどんどん追い込んでしまうポナ、彼を支え力になりたいと願うまめみ、お互いの気持ちがすれ違い結果的に衝突してしまった2人…ツネによって記憶を変えられたり、ポナがツネと激しく衝突したりとまめみ達の感情の変化が激しく描かれた第四部の試練編…少し暗い部分もありましたが、私個人的にはまめみ達の悪い部分というか…それぞれが持つ弱さの部分も書けた事によって今までより更に感情移入出来る様なお話になったんじゃないかなって思ってます。

試練編はこれで終わります…が、まめみ達のお話はまだまだ続きます。

次は少し短いシリーズになりますが…とある長編への間のお話となります。

ここではポナとまめみ、ツネの三角関係を中心に彼の過去が少し語られたり…長編へのキッカケになる不可解な出来事も起きて…?

彼らを待ち受けているのは何なのでしょうか…それは是非、皆様の目で見て頂けたら嬉しいです。

それでは次のお話でお会いしましょう!

ここまで読んで頂きありがとうございました!

2018/12/31 海賊ダイル