ツネが起き上がりリビングへ向かって歩き出したのと同じ頃…
ピリリリリ…突然ツネのイカスマホが鳴り出した!
まめみ「わっ!」
ポナ「ツネのイカスマホがなってる!」
まめお「仲間からの連絡か!?」
まめみ「た、大変…ツっくん起こさなきゃ…!」
しかし慌てたまめみの手は…
ピッ…
そのままツネのイカスマホの通話ボタンを押してしまった…。
エン『もしもし、ツネ?』
その声の主はツネの仲間のエン…しかしタコの世界の言葉がまめみ達に通じるはずも無く…
まめみ「あっ…ど、どうしよう…何を言ってるのか分からない…!」
エン『………?(何故ツネのイカスマホなのに別人が…?もしかして彼女がツネの言っていた幼馴染みの…)』
まめみが話しているイカの言葉も理解は出来る故に会話は可能だが、ここでイカの言葉を話すのもあまりいい判断とは言えないだろう…
どうしようかエンが迷っていると…
ツネ「どうしたの…?」
まめみ「ツっくん、電話が来たの…間違って手が触っちゃって…ごめんなさい…!」
ツネ「いや、だいじょうぶ…かわって、まめみ。」
まめみ「うん。」
ツネ『…もしもし、エン?』
エン『あのガールの声…やはり幼馴染みの子でしたか…。』
ツネ『うん、まめみだよ。それよりエン…はなしはおじいさまからきいてるよね?』
エン『えぇ、将軍から全て聞きました…ざくろの耳には入ってないから大丈夫ですよ。』
ツネ『よかった…。』
エン『本題ですが…その飴は、私が作った物です。』
ツネ『エンがつくったの?』
エン『えぇ…ですがそれは狭い場所に入る際、一時的に子供にして入り込む作戦を元に作られた物…実際の所使う機会は無くて、そのまま廃棄しようという事で置いておいたんです…見当たらなくておかしいとは思ってましたが、まさかツネが持ち出していたとは…。』
ツネ『ぼくもエンがそんなものつくってるとはおもわなかったよ…。』
エン『それについては申し訳ないと思ってます、でも勝手に持ち出したツネも悪いですよ。』
少しだけふてくされながら答えたツネに、エンは少し困った様に笑いつつも反撃した。
ツネ『むぅ…ならおたがいさまだね。』
エン『えぇ。…後でお詫びをしますから、そんなに拗ねないで下さい。』
ツネ『…あまいのたべたい。』
エン『ふふっ…分かりました、ツネの大好きな甘いお菓子を用意して置きましょう。その薬は数日で効果が切れますよ、元の姿になったらこちらへ戻って来て下さいね。』
ツネ『やくそくだよ。』
エン『えぇ、約束です。』
ピッ…通話を終えたツネに、まめみは口を開いた。
まめみ「ツっくん…仲間の方は何て…?」
ツネ「あのくすりをつくったのは、ぼくのなかまの「エン」ってタコだよ…いまのでんわがエンほんにん。」
まめみ「そうなのね…その…エンさんは他に何か言ってた?」
ツネ「くすりのこうかは、すうじつできれるっていってたよ。」
まめお「という事は…図書館で見たのと同じみてぇだな。」
ツネ「としょかんでみたのとおなじ…?」
まめお「あぁ、図書館で大昔のニンゲンの資料があったんだよ…そこにある博士が開発した幼児化の薬についての記述があった。」
ツネ「そうなのか…それをもとにつくったのかもね。」
ポナ「せいほうものってないのに…それをさいげんするオクタリアンのぎじゅつはあいかわらずすごいね…。」
まめみ「前にホタルちゃんが、あたし達の世界の15年先を行ってるって言ってたもんね…。」
ツネ「オクタリアンのけんきゅうしんとぎじゅつはゆうしゅうだ…かれらはひびけんきゅうをかさね…あたらしいぎじゅつをうみだしつづけてるのさ。」
まめお「タコも俺達イカと仲良くしていけたら一番いいのにな…。」
まめみ「そうだね…お互いの違う文化を楽しんで…きっといい関係が築けると思うよ。」
ツネ「…かつてのおおナワバリバトルでタコはちかにおいやられたけど…ぼくもほんとうはおじいさまをちじょうにつれていってあげたい…タコとイカでなかよくしていけるなら…それがいちばんいい…。」
まめみ「ツっくん…。」
まめお「問題が解決したところで…後はこの数日をどうするかだな…俺はスルメさんの店もあるし…スルメさんは大丈夫だって言ってくれたけど…。」
まめみ「あたしは大丈夫だよ、数日で元に戻る事が分かったし…基本的に2人はあたし1人で見れるよ。まめおこそ、スルメさんのお店は昼間は特に人手が足りなくなるんだから行ってあげて。」
まめお「まめみ…。」
ポナ「まめお…まめみならだいじょうぶだよ、おれがしっかりまもるからね。」
ツネ「ちょっと、それはぼくのセリフだよ。」
ポナ「おれはまめみのかれしだもん、とうぜんだろ。」
ツネ「かれしじゃなくてもまめみをまもるのはとうぜんだけどね、それにぼくがしょうらいてきにかれしになるかもだし。」
ポナ「それはないから。」
ツネ「そのじしんはどこからくるんだよ。」
ポナ「だってまめみはおれとずっといっしょにいるっていってるもん。」
ツネ「まめみがいったからって、そういいきるのをうぬぼれっていうんだよ。」
ポナ「なにをー!」
ツネ「ほんとうのことだろ!」
まめお「おいおい、やめろ2人共…。」
そう言ってまたお互いにポコポコと叩き合って喧嘩を始めてしまった2人を、まめおがひょいと抱き上げた。
ポナ「むぅぅ…!」
まめお「いいか2人共、喧嘩してまめみを困らせるんじゃないぞ。もしあんまり喧嘩ばかりしてまめみを困らせたら…俺が帰ってきてその後にキッツイお仕置きが待ってるからな。」
そう言ってニヤリと笑うまめおの青い瞳はギラギラしていて…後ろにはズゴゴゴゴと黒いオーラが見える…気がする…。
ポナ「うぅ…わ…わかった…。」
ツネ「…こまらせない…。」
まめお「よし、約束だぞ。」
そう言うとまめおは2人をゆっくりとソファに下ろした。
まめみ「ありがとう、まめお。」
まめお「大丈夫だ、俺は店に戻るけど…明後日には帰ってくるからな…何かあったらいつでも連絡しろよ。」
まめみ「うん、分かった。」
優しく抱き合った後、まめおは家を後にした。
ポナ「ふぅ…まめおはおこるとこわいからね…。」
まめみ「その通り、だから2人共…喧嘩をしないで仲良くね。」
ツネ「……うん…わかった…。」
まめみ「ふふっ、いい子。」
そう言うとまめみは優しく笑って2人の頭を撫でた。
ポナ「はぁ…それにしても…早く元に戻りたい…。」
まめみ「気持ちは分かるけど、数日の辛抱だよポナ君。」
ポナ「それでも…ほんとはいますぐにでももどりたいの!」
まめみ「ポナ君…。」
ポナ「だってこのままじゃまめみをまもりきれないし、よるのきもちイイこともできないよ!?」
まめみ「ポナ君…夜の心配は今はいらないかな…。」
ツネ「…きみみたいなやつにまけたと思うと、しんそこはらがたつよ…いっしょうそのままならいいのに。」
幼児の姿でとんでもない爆弾発言をするポナに対してまめみは恥じらいつつ困った様に苦笑いし、ツネは口の端をヒクヒクさせながら心底腹を立てて呆れかえっているのだった…。
果たしてこんな調子で大丈夫なのだろうか…
不安を抱えつつも、3人の不思議な生活が始まるのだった。
To be continued…