タコゾネスのツミとヒーロー3号のポナの戦いの火蓋が切って落とされた。
ツミは高い場所に移動してポナの様子を見つつ、オクタシューターで奇襲したりボムを転がして翻弄しようとした。
しかしポナも伊達に2年間ヒーローをやっている訳では無い、華麗な動きでそれらをかわして、ツミに対し確実に弾を当ててくる。
ツミ「(痛い…!)」
相手の弾が当たり痛みを感じる…それでもツミはグッと堪えた
私にはそれしか方法がない…相手に背中を見せる事は許されないのだ。
スペシャルが溜まり、すかさずジェットパックを使い戦うツミ
ポナ「くっ…!」
浮かんだり沈んだりしながら不規則に動いて弾を撃ってくるツミに、ポナも岩陰に隠れて反撃の機会を伺う。
「まるでデラタコゾネスを相手にしている様な強さ」ポナは内心そう思っていた…それ程までにツミは強いのだ。
それでも自分はここでやられる訳にはいかない…ポナはツミがジェットパックを終えた隙を伺い…ボムやヒーローシューターで反撃した。
同じ頃…エンは再びナンタイ山に来ていた。
どんな些細な事でもいい、何かしらの手がかりを…エンはそう願いながらナンタイ山を歩いた。
一方…お互いに互角の戦いであった2人だが…長い戦いの末、ポナはツミを撃破したのだった。
ツミ「うっ…!」
ダメージを負った体が痛む…しかしツミには言葉を発する力は残っていなかった。
アタリメ「よくやったぞ3号、ではパトロールを続けるかの。」
ポナ「はい。」
ヒーローシューターをしまい、ポナはアタリメ司令と共にその場を後にした…。
ズキン…痛みを我慢しながらをゆっくりと立ち上がったツミ
しかし…
ぐらっ…目の前の景色は急に歪み出し、同時にツミの足元の地面はまるでアリ地獄の様になり…どんどん飲み込まれて行く。
ツミは必死にもがいたが、それも無駄な足掻きで…ますますスピードを上げて飲み込まれていく…
その時…!
エン『あれは…!?』
付近を通りかかったエン…彼は遠い視線の先に飲み込まれていくツミの姿を見つけて驚愕した。
急いで走り…彼女に向かって手を伸ばすも間に合わず…
ツミ「…………………。」
エン『………………!』
黄色のアフロ頭のタコボーイが…私に向かって何かを叫んでいる…そして…手を伸ばしている…
ツミ「…………………。」
私…こんな私に…手を差し伸べてくれる人が居たのか…ずっと孤独だった私に…
しかし…私の手は既に飲み込まれていて伸ばす事も叶わず…そのまま意識を失った…。
エン『こんな…こんな事が……!』
その場に残されたタコゾネスサングラスとオクタシューターを手に取り、エンは立ち上がった…
そして足早にその場を後にして…タコワサの元へと戻ったのだった。
しばらくして…ツミは徐々に意識を取り戻してきた…
私……私…は…
あぁ…どうして…何故……
そう思う私の頭に、ある『一つのビート』が流れ込んできた
蛸壺や 儚き夢を 夏の月
このビートは…あの2年前の戦い…
イカの世界のアイドルの歌…
………………………
謎の声「おーーーい、タコ!」
ツミ「………………。」
謎の声「起きんかい、このタコやーーぃ!!」
ツミ「………………?」
謎の声「おぉ、起きたか。」
ツミ「ここ…は……?」
謎の声「ワシにも分からんのじゃ…オヌシと3号が戦った後に、誰かに襲われた気がするんじゃが、気がついたらここにおったからのぅ…。」
ツミ「そう…なのか…。」
謎の声「ともかく、ここに居てもしょうがあるまい…一時休戦してここから抜け出さんとな!」
ツミ「そうだな…ところで…貴方は…?」
アタリメ「おっと、名乗るのを忘れておった…ワシはアタリメ、New!カラストンビ部隊の司令じゃ。して、オヌシの名は?」
ツミ「私…私の名前は……思い出せない……何も……。」
アタリメ「何と…オヌシ記憶喪失なのか…!?」
ツミ「私は…貴方達と戦っていたのか…?」
アタリメ「そうじゃ…しかしそこらの記憶も含めて、全て失ってしまったようじゃの…。」
ツミ「……………。」
アタリメ「そう言えばオヌシ、気を失ってる間シオカラ節を口ずさんどったぞい。もしやオヌシ…『魂にシオカラ節のグルーヴを宿したタコ』なんか…?」
ツミ「シオカラ…節…魂…グルーヴ…?」
アタリメ「2年前タコワサと3号との戦いで、シオカラ節を聞いたオクタリアンの中に『魂にシオカラ節のグルーヴを宿したタコ』がおると聞いとったが…オヌシもその1人じゃったか…。」
ツミ「そう…なのか…私の魂に…そんなグルーヴが…。」
アタリメ「そうとは知らず、さっきは3号をけしかけてすまなんだ。「シオカラ節を好きな者に悪い者はおらん」…これ心理にして人生の鉄則!!」
ツミ「は…はぁ……。」
アタリメ「そうと分かればスタンダップ!ワシと協力して、ここから抜け出すぞい!そんじゃ出口探してレッツゴー!」
ゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡すツミ…そこは薄暗い駅の構内で、目の前には改札と停まっている電車…
ツミ「あの電車に乗るのか…?」
とりあえず乗ってみよう…そう思ったツミだが…乗った電車は車両が一つしかなく、おまけにただの通路と化していて…その先には線路と不思議な扉があった。
アタリメ「あれに見えるはオクタリアンのドアじゃ、鍵で開くぞい。オヌシもオクタリアンなら、ここに見覚えは無いか?」
ツミ「いや…見覚えも無いし…何も思い出せない…。」
アタリメ「う~む…そうか…。」
ツミ「……すまない……。」
アタリメ「大丈夫じゃ、気を落とさんでえぇ。とにかく鍵を探すんじゃ。」
辺りを見回していると何やら足形が描かれた丸い足場があり、ツミがその上に乗ると目の前にインクレールが現れた。
そしてその先にはまた同じ足形が描かれた丸い足場があり…そこに立つと…
ブワンッ…足下からガラスの扉が飛び出し、わかばシューターが支給された。
ツミ「これは…?」
アタリメ「フォー!その機械でブキをゲット出来る様じゃな。」
ツミはわかばシューターを手に鍵を探し出し、無事に手に入れた。
しかし…さっきの足場を通り過ぎようとすると、同じ様にガラスの扉に囲まれて…ブキは手元から消えてしまった。
ツミ「ブキが…。」
アタリメ「ファッ!ブキを外されたか…不思議な機械じゃな…。」
鍵で扉は開いたが、真っ暗で不気味な道が続く…
ツミ「アタリメ司令…。」
アタリメ「ふむ…不気味な場所じゃが、進むしかないのぅ…。」
そう言うと2人はゆっくりと、不気味な線路を歩き始めるのだった。
To be continued…