小説「Aiming for the ground Octo」~旅の始まり~

不気味な線路をしばらく歩くと、大きな駅に出た

人こそ居ないものの、使われている駅ではある様だ。

アタリメ「ふぅ…やっと出た様じゃ、それにしても…広い所じゃのう…。」

駅を見渡すと…少し遠くに何やら不思議な物が…

ツミ「あれは…?」

アタリメ「おぉ、あれは昔の電話じゃ…もしかしたらどこかに通じるかもしれん。」

助けを呼べるかも…そう思ったツミがそっと近づくと…

(通話者ノ IDヲ ケンサクチュウ…)

ツミ「……………?」

少しプルプル震える電話に対して不思議に思うツミだったが…

デンワ「…おはようございマス、NO.10008!深海メトロ中央駅へようこソ!!」

ツミ「…貴方は…?」

デンワ「ワタシは約束の地へのツアーアドバイザー!どうぞ、お見知りおきヲ!」

ツミ「約束の地…ツアーアドバイザー?」

やたらテンションの高いこのデンワについていけないツミであったが、デンワはお構い無しに話を続ける。

デンワ「ココに来られたって事は……約束の地へご出発なのデスね!?」

ツミ「……………?」

デンワ「…アラ失礼、ちょっと何言ってるか分からないご様子…じゃ、軽~く説明させて頂きマスね!!」

ツミ「あぁ…分かった…。」

デンワ「アナタも地下に居るなら、『約束の地』って名前くらい聞いた事ありマスよね?ソコは光溢れるユートピア…地下住民達の理想に満ちた花園…幸運な事に、約束の地に行く事が出来る資格をアナタは今、手に入れたのデス!」

ツミ「約束の地に行く事が出来る…資格…。」

デンワ「過去に挑んだのは10007名…アナタは通算10008番目のチャレンジャーとなりマス。」

ツミ「今までそんなに…チャレンジャーが…!?」

デンワ「ソレはアナタにとってまたと無い、人生一発逆転の大チャンス!!そんなワケでこの深海メトロは、その約束の地へ向かう為の出発点となりマス。」

ツミ「そうなのか…。」

デンワ「じゃ、ハイこれ『NAMACO端末』と『NAMACOカード』デス。」

そう言うと、デンワからNAMACO端末とNAMACOカードが出てきて落ちて…ツミはそれらを拾った。

ツミ「これがその端末とカード…。」

デンワ「この先で必要なンデ、無くさない様お願いしますよ!それデハ……メトロに乗って出発進行~!!」

そう言うとデンワは静かになり…今度はアタリメ司令が口を開いた。

アタリメ「オヌシ、NO.10008と言うのか…面倒じゃから、8号と呼べばいいかの?」

ツミ「まぁ…自分の名前も思い出せないし…それでいい。」

アタリメ「決まりじゃな、よろしくな8号。」

ツミ「こちらこそよろしく、アタリメ司令。」

アタリメ「約束の地が光で溢れとるという事は、それはつまり地上の事じゃな!そうと分かれば善は急げじゃ、ほんじゃ8号…そこを目指すぞい。」

すると奥の方から光が差し込んできて、電車が入ってきて停まり…

ツミ「これに乗ればいいのか…。」

2人が乗ると扉は閉まって、電車は出発した。

アタリメ「8号や、ワシはちょっと疲れたぞい…しばし一服…。」

しかし奥の扉が突然開き…小さな帽子を被った青いうねうねした生き物がやってきた。

ナマコ車掌「本日もメトロをご利用ありがとうございまス。ワタクシ車掌を勤めさせて頂きまス、ナマコ車掌と申しまス。」

アタリメ「なっ!このナマコ、喋りよる!」

ツミ「(可愛い…。)」

ナマコ車掌「おヤ?ご利用は初めてでしたカ…?」

そう言うとナマコ車掌はゆっくり(本人は全力のつもり)歩いて来た。

ツミ「あぁ、私達はここを使うのは初めてだ。」

ナマコ車掌「それでは説明させて頂きまス。ここは『ネル社』の運営する地下の巨大実験シセツ…その実験場同士を繋ぐ『深海メトロ』でございまス。」

ツミ「ネル社…巨大実験施設…深海…メトロ…。」

ナマコ車掌「おヤ?アナタ、NAMACO端末をお持ちですネ?」

ツミ「あぁ、持っている。」

ナマコ車掌「…と言うコトは、約束の地に行かれるのですネ?」

アタリメ「そうじゃ…ワシらは、はよ外に出たいだけじゃ!」

ナマコ車掌「承知しましタ。約束の地は地下住民禁制のユートピア…そこへ行くには各駅の『チャレンジ』を乗り越え、どこかにある『4つのアレ』を集めて下さイ。」

ツミ「4つの…アレ…?」

ナマコ車掌「アレが4つ集まった時、約束の地への扉が開かれまス。」

アタリメ「という事は、そのチャレンジをクリアすれば地上へ出られるんじゃな?」

ナマコ車掌「恐らク…では、最初のチャレンジにご案内しまス…端末のボタンを押して起動して下さイ。」

ツミ「これだな。」

そう言ってツミが端末のボタンを押すと…目の前にホログラムのマップが現れた。

アタリメ「おぉ、なんじゃこれは!?最近のメカはすごいのぅ…。」

ナマコ車掌「線路図が浮かび上がりましタ…行きたい駅をお選び下さイ。」

ツミ「この駅か…?」

そう言ってツミが選択したのは「ルーガ森駅」という場所…

ナマコ車掌「それでは初めてのチャレンジへ出発いたしまス。」

少ししてルーガ森駅に到着し、アタリメ司令は電車に残ってツミは駅のホームに降りると、そこにはわかばシューターを支給された時と同じ足場が…

そこに立つと同じ様にガラス戸で囲まれて…ナマコ車掌が説明を始めた。

ナマコ車掌「駅に着いたら、まずはドレッサーの上でブキが支給されまス。チャレンジにはNAMACOポイントが必要でス、最初なので1000ポイントチャージして置きましタ。」

ツミ「ありがとう。」

ナマコ車掌「チャレンジする際にはチャレンジ料がかかりますガ、駅をクリアしたらクリア報酬でNAMACOポイントが貰えまス。駅についての情報が知りたい時は、ワタクシに気軽にご質問下さイ。」

ツミ「ナマコ車掌、早速だが…目の前のこれは…?」

ナマコ車掌「これは改札でありまス。ここでタッチするとNAMACOポイントが差し引かれスタートしまス。足りない場合はチャレンジ出来ないので出直してきて下さイ。」

ツミ「分かった、色々とありがとう。」

ナマコ車掌「それではお気を付けテ…。」

ツミがタッチすると改札が開き、そのまま地面を蹴って勢いよく飛び出した。

ここでの条件は「森を抜けてゴールせよ」

アタリメ『改札を抜けたら森とは…一体どうなっておるんじゃ?』

ツミ「森と言うより、まるで密林の様だな…。」

近くの木箱を壊したりしつつ道を塗り進めて行くツミだったが、少し先の高台にタコゾネスの姿が!

タコゾネス「…タイショウ ヲ ハッケン。」

アタリメ『タコゾネスはオヌシの仲間じゃろ、話しかけてみんか?』

ツミ「…あぁ………。」

返事はしたものの、少し険しい表情のツミ…

見た目は確かに自分と似ている…しかし色合いが違うのと、何より雰囲気が尋常ではないのだ…。

慎重に近づいたツミだったが…

タコゾネス「シマツセヨ。」

そう言って突然オクタシューターで攻撃してきた!

ツミ「!!」

アタリメ『きゃつめ、仲間を攻撃するつもりか!?』

容赦なく襲ってくるタコゾネスに、ツミも苦戦してしまう…

ツミ「くっ…!」

アタリメ『どうやら話が通じる雰囲気では無さそうじゃぞ!』

あの時に感じた違和感は間違いでは無かった…ツミは内心そう思いつつも、支給されたスプラシューターで必死に応戦した。

しばらく撃ち合いの末、タコゾネスを撃破すると扉が開いた…

ツミ「扉が…!」

アタリメ『道が開けた…どうやら倒すのが正解の様じゃな…。』

新たに開かれた道を進んだツミだが、その先にもタコゾネスが…

タコゾネス「タイショウヲ カクニン…シマツセヨ。」

アタリメ『新手じゃ、今度は2人とな!』

カーボンローラーとパラシェルターを手にしたタコゾネス達は容赦なく襲ってきて…ツミは足場を確保しつつも応戦する!

ツミ「くっ…この人達…雰囲気が全然違う…!」

アタリメ『むぅ…きゃつら魂が抜けとる様じゃ…オヌシ、心当たりは…?』

ツミ「いや、全然無い…どうしてこんな姿に…!」

戸惑いつつも2人を撃破し、更に開かれた道を進むと…今度はマニューバーを手にしたタコゾネスが…

言う事は皆同じで…ただひらすらにツミを始末しようと狙ってくる。

これまで通り応戦するツミであったが、最後のタコゾネスは一味違って…突然ジェットパックを使ってきた!

アタリメ『フォー、何ともハイカラなブキじゃのう!じゃが慌てるな、木に隠れて様子を見るんじゃ。』

アドバイス通りに木に隠れて様子を伺いつつ、ツミは反撃してタコゾネスを撃破した!

すると壊れた改札の様な物が浮いていて、インクをぶつけると合体して改札になり…

それに触れた途端、チャレンジクリアを知らせる音楽が鳴り響いて…彼女の目の前に小さな消しゴムの様な物が…

それはイカのガールの形をしていて…ツミの脳内に不思議な光景が広がる…

イカは我々の敵…如何なる時でも油断せず、確実に仕留めよ…

今のは一体何だったのか…不思議に思いつつも、ツミは電車へ戻った。

ナマコ車掌「おめでとうございまス…1つ目のチャレンジをクリアしましタ。貴女が帰りのホームで受け取ったこのアイテムは『ネリメモリー』と言いまス。」

ツミ「ネリメモリー?」

ナマコ車掌「ネリメモリーは貴女の心を読み取り、それを練り上げたモノ。チャレンジをクリアする度に、ネル社から記念として差し上げまス。」

ツミ「そうなのか…私の…記憶…。」

ナマコ車掌「貴女のチャレンジ出来る駅が増えましタ。表示された駅を自由に選んで下さイ、それでは良い旅ヲ…。」

そう言うとナマコ車掌は奥の車両へ戻って行った。

アタリメ「お疲れさん8号、それにしても…タコがタコを襲うとは…一体どうなっとるんじゃ。」

ツミ「分からない…ただ…彼女達は私の事を同族として認識はしていなかった…排除する事しか考えていない…まるで誰かの洗脳を受けているかの様だった…。」

2人で考え込んでいると、突然アタリメ司令の持っていた無線から何かが聞こえて来た。

アタリメ「ん、あーあー?」

ツミ「どうしたんだ、アタリメ司令?」

アタリメ「無線が繋がった様じゃ!3号、応答されたし!応答されたしーっ!!ドーゾ!!」

すると…

謎の声『るっっせぇー!!!誰だテメーは!!!』

アタリメ司令「ぬわっ!!」

ツミ「い、今の声は…!?」

驚くアタリメ司令とツミ、その声の正体とは…

To be continued…