小説「緑髪の少年(出会い編)」~守る為なら~

2人は店の奥へ向かった。

ポナ「あ…まめみちゃん、まめお君…おはよう…。」

まめお「おはようポナ、顔色は昨日より少しはマシになったな。」

まめみ「ポナ君、無理だけは絶対にしないでね。」

そう話すまめみの握る手は暖かくて…ポナは安心した。

ポナ「ありがとう2人共……まめみちゃんの手、やっぱり暖かくて安心するよ…。」

まめみ「ポナ君…。」

よっちゃん「まだ熱は高いから、今日は絶対に安静よ。」

ポナ「……うん…。」

しばらく4人で話した後…

よっちゃん「それじゃあ私は料理の支度があるから行くわね、後でおかゆを作ってあげるわ。」

まめみ「あたし達はナワバリバトルに行ってくるよ、終わったらまた来るね。」

まめお「よっちゃんが言ってた通り、絶対に無理するなよ…ポナ。」

ポナ「うん…約束するよ。」

そしてよっちゃんは台所へ行き、まめおとまめみはナワバリバトルへ…

ポナは布団の中で虚ろな意識の中、ボーッと天井を眺めていた。

まめみちゃん…まめお君…スルメさん…よっちゃん…

4人は知り合ったばかりの僕をこんなにも受け入れて助けてくれる

まめみちゃんはいつも暖かくて、まめお君は頼もしくて

スルメさんもよっちゃんも優しくしてくれる。

……今、2人はナワバリで戦っている…

2人を守りたいけど、今の僕はとてもナワバリが出来る状態じゃない…

でも僕は……今の僕は知らないたくさんの人々より…2人を「守りたい」んだ。

その頃…まめおとまめみはナワバリバトルを続けていた。

今日のステージはBバスパークとモズク農園

もう既に何戦かしていた為、2人には疲労の色が見え始めていた。

まめお「キツくなってきたな…。次の試合で最後にするか。」

まめみ「そうだね…それにポナ君が心配だもん。」

モズク農園での試合を終えて、次のステージはBバスパーク

まめおはパブロ、まめみはハイドラント

味方メンバーは今までと変わらなかったが1人抜けて、代わりに入って来たのは「タコマスクをつけた緑髪のボーイ」

気怠そうにしている上に服装が昨日のポナと同じだが、髪型もゲソを下ろしているし前髪もタコマスクの中にあり確認は難しい

それにポナはスルメさんのお店で寝ているし、とてもナワバリを出来る体では無い

ボーイ「…………。」

きっと別人だろう、2人はそう思う事にしたが…まめみは心の中で嫌な予感がしていた…。

結果はギリギリ勝利したが、試合が終わりロビーを抜けた直後…

ドサッ!

タコマスクをつけた緑髪のボーイが倒れた!

まめお「お、おい!大丈夫か!?」

まめみ「まさか…!」

驚いた2人が駆けつけると……

ポナ「はぁ…はぁ…!」

そこに倒れていたのはポナだった!

まめお「ポナ!?お前何でここに!」

まめみ「やっぱりポナ君だったのね!」

ポナ「はぁ…はぁ…まめ…み…ちゃ…!」

まめみ「酷い熱だよ、すぐにお店へ!」

まめお「俺がおぶっていく!」

そう言うとまめおはポナをおんぶして、まめみと共にスルメさんのお店へ向かった

店は丁度一段落した所で、お客さんも居なかった為、大きな騒ぎにはならなかった。

スルメさん「ポナ!?どうして外に出たんや!」

よっちゃん「私達が居なくなった隙に裏口から出たのね、何て無茶を…!」

スルメさん「とにかく話は後や…まめお、ポナを奥へ!」

ポナは店の奥へ運ばれて布団に寝かされ、まめおがスルメさん達の店に泊まる時に着るパジャマをポナに着せた。

ポナは無理をし過ぎて気を失っていて、熱のせいで頬は赤く目尻には涙が溜まっていて…彼が目覚めるまで見守る事しか出来ない中、まめみは桃色の瞳から涙を流しながらポナの手を握り続けていた。

僕…何をしてたんだっけ…?

…そうだ…2人を守る為に無理をしてナワバリバトルに行って…

戻る途中で倒れて…

…ナ…ポナ…!

ポナは意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けた。

まめみ「ポナ君!」

ポナ「(まめみちゃん…。)」

この暖かい感覚は…まめみちゃんの手だ…。

熱のせいでボーッとする意識の中、うっすらと見えるまめみの姿を見て…ポナは苦しそうに呼吸をしながらも優しく笑ってゆっくりと起き上がり、部屋の外に居たまめお達もすぐに気づいて部屋に入ってきた。

まめお「目が覚めたか、ポナ。」

するめ「大丈夫かいな?」

よっちゃん「もう…ダメじゃないポナ君、あんな無茶をして…!今、おかゆを持ってくるわ。」

そう言ってよっちゃんはおかゆを取りに戻った。

まめみ「ポナ君…どうしてこんな…!」

ポナ「……2人が僕を守ってくれるように…僕も…2人を守りたかったんだ…だから…」

そう言ったポナだったが…自分の手を握るまめみの手が強くなった。

まめみ「ポナ君、気持ちは凄く嬉しいの…けどそれでポナ君が無理をしちゃうのが怖いの…。」

ポナ「まめみ…ちゃん…!」

まめみ「お願い…もう絶対に無理はしないで…!」

涙目で訴えるまめみに、ポナはまだ苦しそうにしつつも優しく笑って頷いた。

よっちゃん「さぁ、おかゆを持ってきたわよ。少しでも良いから食べましょう?」

ポナ「うん…。」

スルメさん「お、また賑わってきたな…ポナはまめみ達に任せるから、まめお手伝ってくれや~。」

まめお「分かった、それじゃあまた後で来るからなポナ!」

そう言ってまめおとスルメさんはお店の方へ戻って行った。

まめみ「よっちゃん、後はあたしがやるからよっちゃんもお店に戻って…料理を作らないとでしょ?」

よっちゃん「ごめんねまめみちゃん…ありがとう、そうさせてもらうわ。」

そう言うとよっちゃんも、台所へ戻って行った。

まめみ「ふーっ、ふーっ…はい、ポナ君あーんして。」

ポナ「だ…大丈夫…だよぉ…!」

熱と恥ずかしさで頬を真っ赤にしてるポナ。瞳の色も一瞬青くなっていたが…

まめみ「今甘えないで、いつ甘えるの!さぁ、あーんして。」

暖かい…それは熱のせいじゃ無くて…

ポナ「…うん、あーん…。」

まめみ「どう…?」

ポナ「……美味しい。」

まめみ「でしょう!よっちゃんのおかゆはとっても美味しいんだよ。まめおやあたしも、熱を出した時はいつもよっちゃんが作ってくれるの。」

そう言って優しく笑うまめみに、ポナも自然と笑顔になった。

その後もまめみがおかゆを食べさせ、あっという間に平らげたポナは再び眠りについた。

その間も、まめみは一時も傍を離れず手を握り続けていた。

しかし…数時間後。

いつの間にか眠ってしまっていたまめみは目を覚まし、まだ少し寝ぼけてうとうとしていたが…

ポナ「うっ…うぅ…!」

苦しそうなポナの声に気がついた。

まめみ「ポナ君?」

ポナ「うぅ…気持ち悪い…。」

まめみ「トイレに行こう?」

まめみが付き添い、トイレへ向かったが…

ポナ「うぇ…ゲホッ…ゲホッ!」

ギリギリ間に合わず…床に少し吐いてしまった。

まめみはそれでも嫌な顔一つせず、ポナの背中を優しく撫でてくれた。

その後トイレから出て口を濯ぎ、着替えて部屋に戻った。

まめみ「大丈夫…?」

心配の言葉をかけて抱きしめてくれる、まめみの声はいつも通り優しく暖かくて…

自分を抱きしめる細い腕も温もりも心地良い

ポナは苦しい中…ゆっくりとまめみの背中に手を回し、閉じた目尻からは暖かい一筋の涙が零れ落ちて…まめみの着ている服に消えていった。

To be continued…