今日は大晦日。
イカ達は正月を迎える為、それぞれ準備をしていた。
スルメさんのお店でも、スルメさんがお店を綺麗に掃除して、よっちゃんがおせちやお雑煮の準備をしていた。
まめおも手伝いに行き、まめみとポナは自宅の掃除を終えてのんびりしていた。
まめみ「お疲れ様、ポナ君!はい、お茶をどうぞ。」
ポナ「ありがとう。まめみちゃんもお疲れ様!」
まめみ「まめおが帰ってくるまでまだ時間があるね。どうしようか…?」
ポナ「せっかくだから、僕達もお手伝いに行く?」
まめみ「そうだね、お店の掃除も大変だろうし。」
2人が準備してスルメさんのお店に行くと…。
スルメさん「おうまめみ、ポナ。来てくれたんか。」
まめみ「うん。」
ポナ「僕達もお手伝い出来る事はない?」
スルメさん「助かるで。それなら、ポナはまめおの手伝いをして、まめみはよっちゃんを手伝ってくれや。」
ポナ「うん、分かったよ!」
まめみ「任せといて!」
まめお「ポナ、そっち持ってくれるか?」
ポナ「うん、こうだね。」
2人「よいしょ…!」
スルメさん「よーし2人共、少しの間頼むで。」
よっちゃん「まめみちゃん、白滝を入れてちょうだい。」
まめみ「はーい、これね。」
こうして…みんなで協力して掃除や準備をして…あっという間に終わった。
スルメさん「ふぅ…お疲れさん。」
よっちゃん「みんなが手伝ってくれたから助かったわ~。」
まめお「これでいい年を迎えられそうだな。」
ポナ「よっちゃんのおせちやお雑煮食べるの、楽しみだよ。」
まめみ「みんなでここでカウントダウン迎えようよ。」
スルメさん「そうやな!」
よっちゃん「ふふっ、賑やかになりそうね!」
スルメさん「それまでは時間があるから、3人共好きな事しててええで。」
まめお「それなら俺は…ふあぁ…少し昼寝する。」
ポナ「僕は…ちょっと散歩して来ようかな。」
まめみ「あたしはちょっと家に戻って、ブキ達にスルメさんのお店でカウントダウン迎えるって伝えてくる。」
そう言うと3人はそれぞれ別行動へ…。
まめおはお店の奥にある部屋で昼寝を始め
まめみはF-190を着て自宅へ
ポナもF-190を着ると散歩へ出かけた。
外は雪が降っていて…吐く息は白くなっている。
ポナが空を見上げると、雪雲が空全体を覆っていた。
ゆっくりと歩きながらお店を見て回っていると…アクセサリーを売っているお店が目に止まった。
男の子なので普段は気にも止めないが…イカップル達で賑わう中、ポナの目に入ってきたのは…綺麗な四つ葉のクローバーのペンダント。
ポナ「わぁ…綺麗だな。まめみちゃん、喜んでくれるかな?」
手にとって空へかざすと…ちょうど雲の切れ目から射した太陽の光で、クローバーはキラキラと輝いた。
すっかり気に入ったポナはペンダントを購入。
まめみと同じ桃色のリボンでラッピングをしてもらい、嬉しそうに店を後にした。
一方その頃まめみは…。
まめみ「という訳で、あたし達スルメさんのお店でカウントダウン迎えるね。」
パブロ「(えぇ、行ってらっしゃいまめみ。)」
3Kスコープ「(次に会えるのは新年だけど…来年も宜しくね。)」
まめみ「うん、ありがとうみんな。来年も宜しくね!」
ハイドラント「(我もここで待つのか…。)」
まめみ「ごめんねハイドラント、他のブキもみんなここに残るから…。」
ハイドラント「(むぅ…それなら…せめていつものを頼む。)」
まめみ「ふふっ、ごめんねハイドラント…大好きよ。」
そう言うとまめみはハイドラントにキスをして、家を後にした。
その頃まめおは…。
まめお「ふあぁ…よく寝た…。もうこんな時間か。」
辺りは薄暗くなってきていて…まめおは伸びをするとスルメさんとよっちゃんの居る部屋へ向かった。
スルメさん「おうまめお、よく眠れたかいな?」
まめお「おかげ様でな、ぐっすり寝れたぜ。」
よっちゃん「それなら良かったわ。」
まめお「ポナとまめみは?」
スルメさん「そういや、まだ帰っとらんな。」
よっちゃん「もうそろそろ着くんじゃないかしら?」
まめお「俺、2人を迎えに行ってくる。」
スルメさん「気を付けるんやで~。」
2人に見送られながら、まめおはF-190を着て迎えに出かけた。
最初に家の方向へ向かうと、まめみが歩いてきた。
まめみ「あ、まめお。迎えに来てくれたの?」
まめお「あぁ、ポナもまだ帰ってないからな。きっとその辺にいるだろ。」
まめみ「それか、お店の方に戻ってるかもしれないね。」
2人が話しながらポナを探している頃、ポナはスルメさんのお店に向かって、タチウオパーキングの近くを歩いていた。
車の通りが多いこの場所、ポナは端に寄りながら歩道を歩いていた。
ポナ「すっかり暗くなっちゃった…みんな心配してるよね…!」
やや急ぎ足で歩くポナ。
信号が青になったので渡っていたが…
ポナは気がつかなかった
途中で信号が「赤」に変わった事に…。
ブーーーーー!!
クラクションの音が響き…!
最後に彼の目の前に映ったのは……!!
………………!!
まめ…み…ちゃん…!!
………………。
たくさんの人だかり…
車の近くに横たわるポナ…
流れていく…赤い血…
その手には…まめみへのプレゼントがしっかりと握られていた…。
………………………
しばらくして…
まめお「ただいまー。」
まめみ「ポナ君帰ってる~?」
2人で仲良くお店に戻ったが…
奥からスルメさんが大慌てで出てきた!
スルメさん「まめお!まめみ!た…大変や!!」
まめみ「ど…どうしたの…!?」
まめお「落ち着けよスルメさん…どうしたんだよ…?」
スルメさん「ポナが……!ポナが事故にあったんや!!」
まめお「え…!?」
まめみ「ポナ…君が…!?」
よっちゃん「病院の場所は聞いたわ!みんなですぐに向かいましょう!」
外に出て、スーパージャンプを使い病院へ…。
受付で聞いて、集中治療室のあるエリアに向かうと…。
まめみ「ポナ君!!」
まめお「ポナ!!」
ポナ「………………。」
スー…スー…
ガラス越しに2人の目に飛び込んできたのは、口元に呼吸器を付けたポナ。
頭には包帯を巻き…その瞳は閉じたまま…。
少しして…医者から話を聞いていたスルメさんとよっちゃんが駆けつけ、まめおとまめみにも事情を説明した。
信号を渡っていた時…信号が赤に変わったのに気がつかず車に跳ねられたのだ。
頭を強く打っており…今は集中治療室からは出られない…。
まめみ「ポナ君…ポナ君…!」
まめお「まめみ…。」
まめみ「まめお…!」
まめお「…大丈夫、大丈夫だ…!」
まめみ「…ひっく…ひっく…うん…!」
泣いているまめみを、まめおはしっかりと強く抱きしめた。
スルメさん「まめみ…これをお前に渡しておくで。」
まめみ「スル…メ…さん…ひっく…これは…?」
スルメさん「…ポナが事故にあった時に、手に握りしめてたらしいんや。お前へのプレゼントやないの…?」
スルメさんからプレゼントを受け取ったまめみ。
よほど強く握りしめていたのだろう…箱はぐしゃっと潰れていて…ラッピングの桃色のリボンはヨレヨレになっていた…。
リボンをほどいて箱を開けると…。
まめみ「これは…。」
そこには…四つ葉のクローバーのペンダントが入っていた。
しかし、事故の衝撃だろうか…葉っぱが一枚欠けて…三つ葉になっていた…。
綺麗に欠けた葉っぱは…綺麗なハートの形に…。
まめお「まめみ…。」
まめみ「……ポナ君…必ず目を覚ますよね。」
まめお「…………。」
まめみ「…あたし信じてるよ、ポナ君は必ず目を覚ますって!」
そう言うとまめみはペンダントを首に掛けた。
その瞳には今も涙が溜まっているものの…強い決意が秘められていた。
まめお「…そうだな、ポナは今も頑張ってるんだ…俺達も信じて待たねぇと!」
スルメさん「そうやな!」
よっちゃん「えぇ!」
頑張ってポナ君…!
あたし達…信じてるからね…!
…それから数日後…
長い昏睡状態を乗り越えて…
まめみ「はぁ…はぁ…!」
ポナの意識が回復したとの連絡があり、まめみ達はすぐに病室へ。
ガラッ!扉を開けると…ベッドの上に座りながら、外をボーッと見ていた。
ポナ「……………。」
まめみ「ポナ君…!」
まめお「ポナ…!」
スルメさん「よかったで…安心したわ…!」
よっちゃん「よく頑張ったわね…ポナ君…!」
ホッと胸をなで下ろしてポナに近づく4人。
しかし…ポナはまめみ達を見ると…その瞳は今まで見た事のない「ターコイズブルー」で…。
静かに…語りかけるように口を開いた。
ポナ「…君達…誰…?どうして僕の名前を知ってるの…?」
まめみ「え…?」
ポナ「…分からない…何も分からないんだ…。」
まめみ「そん…な…そんな…!」
まめお「嘘だろ…ポナ…!」
スルメさん「まさか…まさかポナ…!」
よっちゃん「記憶喪失…!?」
緑髪の少年(出会い編)~Fin~
~あとがき~
海賊ダイルです。いつも小説を読んで頂き、本当にありがとうございます!
小説「緑髪の少年(出会い編)」はこれにて完結しました。
夏に書き始め、色々と悩んだ時期もありましたが、年内に完結させる事が出来て本当に良かったです!
共に四季を過ごす内に次第にポナ君はまめみに惹かれていき、まめみもまたポナ君に惹かれていきました。
まめおとの衝突…それぞれ考えた末に出した答え…
まめみと結ばれ幸せの絶頂を迎えた矢先、記憶を失ったポナ君…
しかし彼らの物語はまだまだ終わりません。
今度は「再会編」として、お話は続きます。
記憶を失ったポナ君…
そして…彼の口から開かされていた「姉のペコ」ちゃんの存在。
更に新たなキャラも登場して…!?
「緑髪の少年(再会編)」も是非ご覧下さい!
ここまで閲覧頂き、本当にありがとうございました!
2016/12/31 海賊ダイル