小説「緑髪の少年(再会編)」~記憶を失った少年~

…………………

……誰……私を呼ぶのは…誰…?

その緑髪…メガネをかけた奥の…優しい黄色の瞳…

……優しい声……

…ポナ…?

…………………。

薄暗い部屋の中、カーテンの隙間から陽の光が差し込んで来て…『少女』は目を覚ました。

開かれた茶色の瞳は虚ろで…長いゲソは「白」その口元からポツリと漏れ出る様に出た言葉は…

「ポナ」

…………………………

~その頃、病院では~

奇跡的に意識を取り戻したポナ

しかしそれと引き替えに失った「記憶」

まめみ達に突きつけられた現実は…非情なものであった。

ポナ「……………。」

まめみ「ポ…ナ…君…ポナ君…あたしが分からないの…?まめみだよ…?あたし達…恋人同士になったばかりだよ…?」

ポナ「恋人…君と…僕が恋人同士になったばかり…?」

まめお「ポナ…冗談だろ…?」

そう言ってまめおがポナの肩を掴んだが…!

ポナ「っ……………!!」

まめお「………ポナ………!」

肩を掴まれたポナの瞳はターコイズブルーのまま変わらなくて…

体は震えていて…

その瞳は…決して騙している目ではなくて…

…記憶を失ったのは「真実」である「現実」を改めて突きつけられる結果となった…。

まめみ「まめお…やめて…。」

まめお「……ごめんな…怖がらせるつもりはなかったんだ…。」

ポナ「………僕は…君達といつ…どこで出会ったのかな…。」

まめみ「っ……!!」

まめお「………!!」

ポナ「……ごめんね…本当に思い出せないんだ…。」

まめみ「うぅっ……!!」

ポナ「あっ…!」

ガラッ!バタバタバタ…!

まめお「まめみ!!」

よほどショックだったのだろう…まめみは大粒の涙を流して病室を出て行ってしまった…。

まめおも追いかけて病室を出て行き、スルメさんとよっちゃんも医者から話を聞く為に病室を出て行って…部屋にはポナ1人が残された。

ポナ「……………。」

まめみ……………

………恋人……………

……ダメだ………全然思い出せない……

何も……思い出せない……

でも…彼女が泣いているのを見て…何故か僕の心はぎゅって苦しくなって…彼女を笑顔にしたい…守りたいと思った…

一方まめみは病院の屋上にいた

まめおが追いついて傍に近づくと……

まめみ「…ひっく…ひっく…!!」

金網に手をかけて…俯いて泣いているまめみ

足下に大粒の涙が零れ落ちて…コンクリートを濡らしていく…

まめお「まめみ…。」

まめみ「ひっぐ…ひっく…まめ…お…まめお…あ…あぁぁぁぁん…!!」

まめお「まめみ…!!」

声を上げて泣きじゃくるまめみを、まめおはただ強く抱きしめるしか出来なかった…。

「まめみちゃん!」

「大好きだよ。」

「ずっと…ずっと一緒にいようね、まめみちゃん。」

……ポナ君……ポナ君………!!

『…ねぇ、まめみちゃん。もし…もし僕に何かあって…僕が記憶を全て失って…まめみちゃんの事を忘れてしまったら…?』

……………!!

『…ごめんね…。何か、急にふとそんな不安がよぎったの。…それでも…例え忘れてしまっても…ここで出会って…今まで過ごして遊んだ思い出…まめみちゃん達は忘れないでいてくれる?…僕を好きでいてくれる…?』

ポナ君…あの時言った事が………現実になってしまうなんて……!

あたしは…あたしは…!!

………………………

『ありがとう、まめみちゃん。…僕も、その時に思い出せたらいいなぁ。…例えずっと思い出せなくても…僕は再び…まめみちゃんに恋をするよ。そして…まめみちゃんにもう一度…告白するよ。』

『…記憶を失っても…ずっと大好きだよ…まめみちゃん。』

………!!

ポナ君…!

…そうだ…あたしは…

『…うん、絶対に忘れないよ。忘れるはずがないよ。例えポナ君が記憶を失っても、あたしはずっとポナ君を好きでいるよ。ずっと傍にいる。』

『あたしも…ずっと大好きよ…ポナ君。』

記憶を失っても…あたしが分からなくても…ポナ君はあたしの最愛の人…!

ずっと…ずっと傍にいるって決めたの…!

その時!

ポナ「…まめみ……………!」

まめお「ポナ…!」

まめみ「ポナ君…!」

2人が驚いて声の方向を見ると…

そこにはポナが立っていた…。

ポナ「……ごめんね…記憶はないんだ…でも君が泣いていたのを見たら…胸がぎゅって苦しくなって……守りたいって思ったの…。」

まめみ「ポナ…君…!」

ポナ「もう一度…君達の事を僕に教えてくれないかな…?」

まめお「あぁ、もちろんだ…ポナ。」

まめみ「よろしくねポナ君。」

ポナ「ありがとう、よろしくね…!」

そう言うとポナは手を差し出して、2人はその手をしっかりと握った。

ポナ君、あたしずっと傍にいるよ

ずっとポナ君の事待ってるから…

だからあの時言ってた事…いつかまた………

『例えずっと思い出せなくても…僕は再び…まめみちゃんに恋をするよ。そして…まめみちゃんにもう一度…告白するよ』

また…あたしに恋をして……ポナ君……

大好きだよ。

To be continued…