驚きを隠せないスーに対して、リスティヒはニヤリと口角を上げて口を開いた
リスティヒ「…戻って来たんだよ、あいつに復讐する為にな!」
スー「復讐…何の事なの!?」
リスティヒ「お前の兄貴…フーに対してだ!」
スー「!?」
リスティヒ「あいつのせいで俺は全て失ったんだ…あいつだけは生かしちゃおかねぇ。」
スー「兄貴が何をしたのよ…そもそもあんたが嘘をついて利用して、あたし達を引き離したんじゃない!」
リスティヒ「2年前フーが裏切り警察への自白をしなければ、俺はウデマエを失う事もハイカラシティを追放される事もなかったんだ…俺は全てを失ったのに対してあいつは警察官なんてなりやがって!」
スー「そんなの、あんたの逆恨みじゃない!」
リスティヒ「何とでも言え、俺はあいつに復讐を誓った…お前はそれを果たす為の人質だ。」
スー「なっ…!?」
リスティヒ「可愛い妹が人質に取られてりゃ、あいつも無視は出来ねぇだろ?へへっ…楽しみだぜ。」
スー「リスティヒ…あんた…!」
そう言って笑うリスティヒに、スーは強い憎しみを覚えた。
リスティヒ「さて…早速あいつに連絡するとするか。」
スー「やめてよ!」
荷物からイカスマホを取りだして弄るリスティヒにスーは抵抗しようとしたが…手足を縛られていて動けない…
お構い無しに電源を入れたリスティヒだが…
リスティヒ「まめみ?…お前、まめみちゃんと知り合いなのか?」
スー「!!(しまった…こいつ昔まめみを…!)」
リスティヒ「へぇ~まめみちゃんと知り合いなら話は早いな…へへっ、こいつは面白くなるぜ。…おっ、まめみちゃんすっげー綺麗になってんじゃん、胸もデカくなってますます色気が増したねぇ。」
一緒に撮った写真のまめみを厭らしい目で見ながらニヤニヤ笑うリスティヒに、スーは背筋がゾッとした。
スー「(2年前もこうやって…まめみを…!)」
しばらくまめみの写真を舐め回すように見ていたが…突然リスティヒの表情が険しくなった。
リスティヒ「…青髪のこいつ、確かまめみちゃんの傍にいた…。」
スー「(まめお…!)」
リスティヒ「お前の彼氏になってんのか……こいつも一緒に潰してやる。」
スー「まめおは関係無いでしょ!」
リスティヒ「俺はお前達を滅茶苦茶にしねぇと気が済まねぇんだよ…俺が受けた屈辱、今度はお前達に嫌と言う程に分からせてやるぜ。」
そう言ってリスティヒは笑いながらその場を去って行った…。
スー「くっ…兄貴…まめお…!!」
その頃…スルメさんのお店ではみんながスーの無事を信じて待っていた…。
フー「…そうですか……分かりました。」
ペコ「どうだった、フー?」
フー「まだ何も手がかりは掴めて無いそうだ…。」
ペコ「そんな…。」
警察の同僚に連絡をしたものの、いまだにスーの行方は分からないまま…
まめお「スー…どこに行っちまったんだよ…。」
祈るようにスーの身を案じるまめお
すると…
ピロロロロン…まめみのイカスマホが鳴った。
まめみ「…スーちゃん!」
ポナ「えっ!?」
まめお「スーから来たのか!?」
まめみ「うん、出るね!」
フー「まめみ、念の為にスピーカーモードにしてくれ。」
まめみ「分かった。」
まめお「(スー…!)」
スピーカーモードに切り替えて、まめみは通話ボタンを押した。
まめみ「…もしもし、スーちゃん?」
しかし…電話の向こうから聞こえて来たのはスーの声では無くて…
リスティヒ「もしも~し、まめみちゃ~ん?」
まめみ「だ…誰なの…!?」
知らない男の声が聞こえて、みんなは動揺を隠せないでいたが…
リスティヒ「俺だよ、リスティヒ…まめみちゃん2年前は最高の一時だったね~?」
まめみ「っ………!!」
ゾクッ…!!
背筋を強い悪寒が襲った…忘れもしない2年前のあの悪夢…
ホッケふ頭で襲われ…まめみの笑顔と明るささえも奪った、あの忌まわしい記憶…
リスティヒ「すっげぇ綺麗になっちゃって、びっくりしちゃったよ…2年前とはまた違う美味さがありそうだね?」
そう言って厭らしい笑い声が聞こえて…
まめみ「…い…や…いや…ぁ……!」
ポナ「まめみ!」
青ざめた顔で目を見開き、ガタガタと震えているまめみをポナが強く抱きしめた。
まめみ「ポナ…君…!」
リスティヒ「ポナ……あぁ、あの時に一緒に居たあの優男の彼氏か…まだあんな奴と付き合ってたの?」
ポナ「ふざけるな!!」
まめみを抱きしめたまま強い怒りを露わにするポナだが、リスティヒはお構い無しに話を続けた
リスティヒ「まめみちゃ~ん、他には誰が居る?」
まめお「おい、スーはどこに居る!?」
リスティヒ「…お、居たのかまめお。」
まめお「俺を覚えてるのなら話は早いな、スーはそこに居るのか?」
リスティヒ「あぁ、少し離れたところにいるぜ。」
まめお「無事なんだろうな!?」
リスティヒ「あぁ、今の所はな。」
フー「…リスティヒ、一体何のつもりだ。」
リスティヒ「…その声、お前かフーリッシュ……いや、フー。」
フー「答えろリスティヒ、どうしてスーを…俺の妹を攫った!?」
リスティヒ「お前に復讐する為の人質さ。」
フー「何だと…!?」
リスティヒ「俺が2年前に受けた屈辱、それをお前に復讐する形で晴らしてやる…明日の午前7時にホッケふ頭に来い。」
フー「俺だけか?」
リスティヒ「お前とまめお…まめみちゃんもだ。」
フー「何をするんだ?」
リスティヒ「対決さ、お前の使用ブキは4Kスコープだ。」
フー「…分かった、但しスーに手出しをしないと約束しろ。」
リスティヒ「あぁ、約束するぜ。用件はこれで終わりだ、それじゃあ明日な。」
そう言うと電話は切れた。
まめみ「うっ……うぅ……!」
ポナ「スルメさん、まめみを休ませたいから部屋を借りるね。」
スルメさん「あぁ、分かったで。」
怯えて泣いているまめみを連れて、ポナは奥の部屋へ…
ペコ「リスティヒ、何て恐ろしい男なの…!」
スルメさん「あいつがあの時にまめみを…!」
よっちゃん「私の娘に何て事を…!」
怒りの感情を見せる2人…よっちゃんの髪も黄色に染まり、激昂ぶりが伝わってくる…
まめお「フー兄…。」
フー「…あいつの最大の狙いは俺だ、明日ホッケふ頭に向かおう…俺は今度こそ、あいつを止める。」
ペコ「対決して、どうするの?」
フー「逮捕する、2年前に俺はあいつを止められなかった…俺の手で捕まえる事で、今度こそあの時の責任を果たす!」
その頃…奥の部屋ではポナがまめみの背中を撫でて落ち着かせていた
ポナ「少し落ち着いた?」
まめみ「うん……ポナ君、明日フーさん達と一緒に行くよ。」
ポナ「まめみ…!」
まめみ「スーちゃんを助けに行かなきゃ…フーさんもまめおも逃げずに戦う…あたしも逃げないで戦う。」
桃色の瞳に涙を溜めつつも決意を固めたまめみに、ポナもゆっくりと頷いた。
ポナ「分かった、俺も一緒に行く。」
まめみ「ポナ君…!」
ポナ「今度こそ、まめみを必ず守る。」
そう言って再び彼女を強く抱きしめ、その唇にキスをした。
俺は2年前のあの日、あの男からまめみを守れなかった…
あの悲劇を…悪夢を繰り返しはしない
今度こそ俺が必ず、まめみを守り抜く
To be continued…