小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(葛藤編)」~悲劇を繰り返さぬ為に~

キスを止めると、まめみの瞳に溜まっていた涙が零れ落ち…ポナの膝に落ちて消えた

まめみ「ポナ君…ぎゅって抱きしめてて…。」

ポナ「うん、ずっとこうしてるよ。」

まめみ「もっと…もっとポナ君…。」

ポナ「まめみ…。」

抱きしめたまま2人はゆっくりと床に倒れ込み…

お互いの不安を消す様に、角度を変えて何度も何度もキスをした。

夜…みんなはスルメさんの店に泊まりそれぞれ眠りについた中で、まめおは1人布団の中で2年前の事とスーの事を考えていた

あの事件のせいでまめみは笑顔と明るさを失い、それまで家の中に響いていた笑い声は消えて毎日泣き叫ぶ声が響く…笑顔と明るさを取り戻すまでの苦しさと悲しい思い…

その後まめみがポナと結ばれ、自分も最愛のパートナーであるスーと結ばれた

今度こそ守ると誓った、大切な人

もう絶対に同じ悲劇は繰り返さない!

必ず助けると心に強い決意を秘めて、まめおは眠りについた。

同じ頃、別の部屋では…

まめみ「すぅ…すぅ…。」

目尻に涙を残しつつ眠るまめみの隣にいたポナはそっと布団から抜け出し、こっそりと外へ出て深夜のハイカラシティを歩き出した

上を見上げれば綺麗な星空が広がり…色とりどりの星が輝き、イカスツリーの上の方を見ればオオデンチナマズが巻き付いたままぐっすりと眠っていて…下を見れば同じくぐっすりと眠るジャッジ君の姿もあった。

ポナ「(今日はこっちにいるんだ。)」

オオデンチナマズはハイカラスクエアにも居るが、時々デンデン太鼓の様な音が聞こえて来る時に空を見ると飛んでいる時がある

噂ではハイカラシティと行き来をしているとか…。

ポナはジャッジ君が眠る場所の隣に座り、夜空を見上げた

2年前にも同じ事をしていた…その時は睡魔に襲われて眠ってしまい、早朝にまめおが捜しに来て自分をおぶって店まで帰って…

ポナは懐かしさに少しだけクスッと笑い、同時にまめみを守り抜く事への決意を更に強めて店に戻り、彼女を抱きしめて眠りについた。

同じ頃、使うブキの手入れをしていたリスティヒの脳裏には子供の頃の記憶が蘇った…物心ついた頃に親に捨てられ盗みや店で廃棄された食べ物を持ち去り、住処を変えながら生きる為に付けた術…

幼なじみの兄妹フーと他に出会った奴を仲間にしてチームを組み、ナワバリでおカネを稼ぎウデマエを上げながら誰にも負けぬよう実力を付けて…

妹のスーに仕送りをするフーに仕送りをやめさせて利用する為に、彼女からの手紙を隠してフーに嘘を吐き引き離した

欲しい物は全て力尽くで奪い取り…性欲も力尽くで満たすようになった

ナンパしてナワバリの後に襲い欲を満たし…

タコマスクで顔を隠していたから誰にも正体を知られる事無く済んでいたが、警察が動き出した為しばらく自粛する事に…

苛立ちも増えていた頃にまめみちゃんを見つけ…性欲の溜まっていたあの時は更に魅力的で、その欲を思いっきり堪能しようとした

しかし傍に居たあの2人が邪魔をして逮捕され、フーが自白をした為に全て失い今に至る…

自分にとって邪魔な物…ライアーやファイクも切り捨てた

それなのに…全て失った後フーはスーと再会し、自分だけ幸せと安らぎを手にして…

邪魔な奴は消す、自分をここまで狂わせたあいつは必ず殺す…

ブキの手入れを終えて暗闇に光るリスティヒのオレンジの瞳は、憎しみと狂気に満ちていた…。

To be continued…