オリジナル小説「ワニ喰い植物!?キラープラント」

アンデット・クロンを倒し、無事に帰還したブルース達。

ミラージュアイランドへ向けての出航は明日に決まり、それぞれ自由な時間を過ごす。

一方母マリンにアドバイスを受けたアクアは、無理に答えを出さず時間を掛けて考える事を決意する。その後、想いを伝えるべく彼女を散歩に誘ったスマラであったが、何かの鳴き声を聞き、向かうのだった。

 

~ワニ喰い植物!?キラープラント~

 

スマラ「声がしたのはこっちだったよな…?」

アクア「えぇ、でも何も…見あたらない?」

2人が辺りを見渡しても…何も居ない。

確かにこの辺で声がしたのにと疑問に思っていると…また声が聞こえた。

スマラ「あの岩の辺りからするな。」

少し先にある岩へ向かうと…何やら不思議な生き物が岩の下敷きになっていた。

アクア「…見た事の無い生き物ね。可哀想に…待ってて、今岩を壊すわ。」

そう言うとアクアは海水を操り、岩に向かってぶつけると…岩は跡形もなく砕け散った。

スマラ「…凄い威力だ。さすがラグシーとザフィーアの血を引く王女…っと今はそんな事言ってる場合じゃないな。おい、大丈……アクア離れろ!」

アクア「えっ?どうしたのスマラ?」

スマラ「近づいては駄目だ!こいつは…キラープラントだ!」

アクア「キラー…プラント?」

スマラ「キラープラントは我らワニの唯一の天敵!人喰い植物…ならぬワニ喰い植物だよ。伝説上の生き物として語り継がれていたが…まさか本当にいたとは…!!」

アクア「でも…私達を襲う気配は無いわ。それに…怪我してるし放って置けない…見た感じまだ子供よ、私達を食べるには小さすぎるわ。」

そう言うと、アクアはキラープラントの子供に近づいていった。

キラープラント「グルル…!」

アクア「大丈夫、私達は何もしない。岩の下敷きになって怪我をしてしまったのね…私と一緒に行きましょう、怪我の手当をしないと…ね?」

そう言ってアクアが手を差し伸べると…警戒して唸っていたキラープラントは唸るのを止め、目つきが優しくなった。アクアは優しく微笑みながら抱き上げ、髪を結んでいた黄色いバンダナでそっと包んだ。

スマラ「アクア…。」

船に戻り怪我の手当をした後、みんなに連れてきたキラープラントの話をした。

皆最初は驚いたが、話に聞くのとはいくつか違うところもあった。

スノウ「確かに伝説上の生き物として語られていたが…色が全然違うな…それにキラープラントはどんなに小さくても、いかなる状況であろうともその命が続く限りワニを襲う本能は忘れないと言う。ただ弱っているだけでワニを襲わない訳では無さそうだな…。うーん…ミラージュアイランドに戻り神話を調べないとよく分からん…。」

スマラ「では…これはキラープラントでは無いと言う事ですか?」

スノウ「恐らくは。姿が似た何か違う生き物…なのかもしれんな。」

アクア「この子、私がお世話していい?」

マリン「うーん…どうしようかしら?王宮に入りきらない程大きくなったら。」

ブルース「問題はそこか…?まぁ、何はともあれアクア…そう言ったからにはちゃんと最後まで責任を持って世話するんだぞ、たとえどんなに大きくなって大変になってもだ。約束出来るか?」

アクア「約束するわ、パパ。」

ブルース「…よし、なら良いだろう!みんなはどうだ?」

ラクト「まぁ、別に危害を加える訳では無さそうだし…いいだろう。」

ガーリル「しかし…こいつ何食べるんだ?肉か?魚か?」

ペルラ「キラープラントじゃないなら…普通の植物と同じ様に水でいいのでは?」

スマラ「いや…一応動物扱いした方がいいんじゃ?」

アルマ「あらゆる食材を持ってきて反応を見るしかないか…。」

そして…肉、魚、野菜等のあらゆる食材を持ってきたが…見る度にそっぽを向いてしまい一向に食べる気配が無い…。

ガーリル「おい、好き嫌いしてちゃ大きくならないぞ。魚食べてみろよ、美味いぞ。」

そう言ってガーリルは魚を一匹食べて見せるものの、全く見向きもしない。

マリン「アクア、蜂蜜好きよね?もしかしたら食べるんじゃない?」

ブルース「おいおいマリン、いくら何でもそれは無理があるんじゃないか?」

マリン「あら、やってみなきゃ分からないでしょう?」

アクア「試してみるわ。」

そう言ってアクアは蜂蜜を小皿にいれ、スプーンですくった。

そしてキラープラントに近づけた。すると…!

キラープラント「クゥッ!」

今まで全く無反応だったのが、急に目の色を変えスプーンに盛られた蜂蜜に食いついた。

その後ある程度食べたところで満腹になった様でアクアの膝の上でくつろいでいる。

ラクト「まさか本当に蜂蜜を食べるとはな…。」

マリン「だから言ったでしょう?やってみなきゃ分からないって。」

ブルース「仰る通りで。」

キラープラント「クゥークゥー。」

スノウ「出会ったばっかりなのに、もうアクアに懐いたみたいだな。俺も観察してみたいし…どれ、こっちにおいで。」

そう言ってスノウが手を近づけた瞬間。

キラープラント「シャー!!」

今まで大人しかったのに、突如豹変して威嚇してきた…。

スノウ「うおっ!危ないぞこいつ!」

アクア「大丈夫よスノウ、きっとまだ人見知りしてるんだわ。ね?」

キラープラント「クゥ…。」

スノウ「うーん…何だかおっかないもんが来たなぁ…。」

少し心配はあったものの、危害を加える様子は無い為結局アクアに任せる事にした。

そして、アクアはキラープラントを部屋へ連れて行った。

アクア「貴女、不思議な子ね…私達を襲う訳でも無いし蜂蜜を好むし…きっとキラープラントじゃないのね。あ、名前を付けなくちゃ…でもまず休まないと。ここは安全よ、だからゆっくりおやすみ。」

頭をそっと撫でながらアクアが言うと、安心しきったのかキラープラントは大きなあくびをして、すやすやと眠ってしまった。

 

~To be continued…~