※『』はオクタリアンの世界の言語。
ここはオクタリアンの住む地下世界
タコワサ『ギギ…行くのか…?』
ツネ『うん、行ってくるよ。』
タコワサ『ツネよ…ワシは心配で心配で堪らん…毎日必ず連絡を入れるのだぞ。』
ツネ『お爺様は心配性だね……うん、約束する。』
荷物を纏めてリュックに詰め、歩き出したツネ
すると、後ろから声がした。
???『行っちゃうの…ツネ?』
ツネ『僕が居ないと寂しくて泣いちゃう?』
???『泣かないもん!』
そう言って頬をぷくっと膨らませたタコのガールを見て、ツネはクスッと笑い近づいた。
ツネ『永遠の別れじゃないよ、時々こっちにも戻ってくる…毎日連絡するから。』
???『…うん。』
そう言うとツネはガールの頭を優しく撫で、背を向けて再び歩き出した。
長い階段を抜けると、そこには朝焼けの地上の世界が広がっていて……
ツネはズボンのポケットから愛用しているオシノビニットを取り出し、グレーの頭にニット帽を…そして口にマスクをして目を閉じ深呼吸をすると…ゆっくりと目を開けた。
久しぶりの地上…地下世界から様子は伺っているが、日々様々な進化を遂げている。
…彼女はどこにいるのだろう…
でもここで暮らし、ナワバリをしていれば…そのうち必ず会える
幼き頃に出会った桃色の瞳の少女…
……まめみ……
~ある日のこと~
まめみとポナはアタリメ司令に呼ばれてタコツボキャニオンに居た。
本当はまめおも呼ばれていたが、この日はスルメさんのお店の手伝いで行けなかった為、2人だけで来たのだった。
まめみ「アタリメさん、用事って何ですか…?」
ポナ「任務の知らせかと思ったら、私服でいいって言われたので…。」
不思議で堪らない2人だったが…アタリメ司令が口を開いた。
アタリメ「タコワサの奴が、まめみちゃんに話があるようなんじゃ。大丈夫じゃと思うが、3号は護衛の為に呼んだんじゃよ。」
まめみ「そうなんですね、でもタコワサがあたしに話って…何だろう?」
ポナ「全く見当がつかないね。」
まめみ「うん。」
そんな話をしていると、タコワサが来た。
タコワサ「ギギ…コムスメ、ナハまめみとイッタナ…。」
まめみ「うん、そうだよ。」
タコワサ「オマエノ「ハハ」ノナハ、さくら…デハナカッタカ?」
まめみ「うん、あたしのお母さんはさくら……でもどうしてタコワサがあたしのお母さんの名前を知ってるの…!?」
タコワサ「ヤハリソウデアッタカ…オマエノハハ…さくらノイチゾクハ…ココデワレラトトモニクラシテイタカラナ。」
まめみ「お母さんの一族が、タコワサ達と共に…?」
タコワサ「オマエノハハニハ…フタゴノアネガイタハズダガ…タシカナハ…ナデシコ…。」
まめみ「うん、まめおのお母さんが…ナデシコだった。」
ポナ「一族って言ったよね…と言うことはまめみ…タコワサはあの力の事を…。」
まめみ「うん…。」
タコワサ「アノチカラ…『ブキとココロヲカヨワセ…カイワスル』チカラノコトダナ?」
まめみ「やっぱり知ってたのね。」
タコワサ「ハナストスルカ、オマエタチノイチゾクノコトヲ…。」
そう言うと、タコワサは話を聞かせてくれた。
ブキと心を通わせ会話する力を持つ黒インクのイカの一族…
名は「ウト」族と言った。
ウト族はその力故に迫害され、この地下深くの世界へと逃げ込み住み着き…
タコワサはウト族を不憫に思い、共に地下で生きる道を選んだ。
しかし…ウト族はやがて近親相姦を繰り返し、それ故に濃くなり過ぎた血筋は彼らの寿命をも大きく縮めてしまう運命を辿ってしまった。
ナデシコとさくらも限られた命だったが、地上へと行き…その時にウト族の名字も捨てたのだった。
まめみ「そしてお母さん達は…スルメさんやよっちゃんと出会って、まめおとあたしが産まれた…。」
ポナ「タコワサ、そのウト族は今でも地下世界に?」
タコワサ「…ザンネンダガ…ウトゾクハモウ…オマエタチフタリ…ソシテ…ワシノ「マゴ」ノミダ。」
まめみ「孫…タコワサの孫があたし達と同じウト族の末裔…!?」
ポナ「その孫は…短命なの?」
タコワサ「マゴハタンメイデハナイ、ソシテ…ワシトノチノツナガリハナイ…ダガワシニトッテハカワイイカワイイ…ダイジナマゴダ…。」
まめみ「そうなのね、よかった…けどその孫はタコワサとの血の繋がりはない…ということは…イカなのかな。」
タコワサ「ミタメハナ……ソノマゴダガ…オマエトメンシキガアルヨウデ、サガシニチジョウヘデテイル…。」
まめみ「あ、あたしを…?」
ポナ「一体どこで…まめみ、会った覚えは…?」
まめみ「ううん、全然…。」
アタリメ「タコワサ、オヌシ…ボケているんじゃなかろうな?」
タコワサ「ギィーナニヲイウカアタリメ!ワシハボケテオラン!ゴホン!トニカク、マゴガオマエヲサガシテイルノダ…ソシテ、オマエヲ「ヨメ」ニスルトイッテイタ!」
まめみ「えぇっ…よ、嫁!?」
ポナ「!?」
タコワサ「ワシモサイショハオドロイタガ…マゴガキメタアイテナラ、ワシモシュクフクシヨウ。コムスメ…イヤ『まめみ』、ワシノコトハ…『お爺ちゃん』トヨンデイイノダゾ…。」
まめみ「……お…お爺…ちゃん…………。」
ポナ「……………………。」
そう言って少し恥ずかしそうに頬を赤らめるタコワサに、まめみは驚いた表情で言葉を失い、ポナは段々と怒りが湧いてきて…彼の後ろにはどす黒いオーラが見える…気がする。
タコワサ「タノシミダ…ヒマゴノスガタモソウトオクナイカモシレンナ…。」
そんな事も言い出すこのタコワサに、ポナの怒りも頂点に達した様で…
ポナ「…そんな下らない事を言う為に…俺達を呼んだの?……悪いけどその孫とやらに伝えてよ…まめみは俺の彼女なの、諦めてねって。」
まめみ「ポナ君…。」
そう言ってまめみを抱き寄せたポナ
しかし…
タコワサ「ソウトキマッタラコウシテハイラレナイ!ケッコンシキノショウタイジョウノジュンビヲセネバ!」
ポナ「おい、俺の話を聞けよ!」
全く聞いていないタコワサに対して怒るポナだったが…
タコワサ「ソレジャアワシハココデカエル!マゴトアイサツニクルノヲタノシミニシテイルゾ、ヨメ!」
そう言うとタコワサはルンルン気分でUFOに乗って帰ってしまった…。
ポナ「二度と来るなー!!」
そう言うとポナはタコワサの帰った方向へ向かってヒーロースピナーを連射していた…。
アタリメ「よさんか3号…それにしても4号…まめみちゃん…何やらエライ話になっておるのぅ…。」
まめみ「アタリメさん…。」
アタリメ「まぁ…タコワサの言う事は気にせんでえぇ。まめみちゃんには3号がおる…その孫とやらも、話せば分かってくれるじゃろう。」
まめみ「はい…。」
モヤモヤは残っていたが、まめみとポナはタコツボキャニオンを後にした。
To be continued…