小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(試練編)」~幼馴染みとの再会~

まめみ「話があるって言ったから何かと思ったけど…まさかあんな話もあるなんて…びっくりした…。」

ポナ「あのタコめ…。」

まめみ「まぁまぁポナ君…。」

いまだに怒りが収まらないポナをまめみはなだめていたが…

まめみはふと足を止めた。

ポナ「どうしたの?」

まめみ「あ、ごめんね…ふと…幼馴染みの事を思い出したの…。」

ポナ「幼馴染み…?」

まめみ「子供の頃…まめおが背中の傷で入院してた頃に知り合った男の子で、まめおが退院する時に遠くに引っ越して行っちゃったの…「ツネ」っていうんだけどね…元気かなって…。」

ポナ「そうなんだね…その幼馴染み、今もどこにいるのか分からないのかな…。」

まめみ「うん、分からない…連絡先も聞いてなかったから…。」

ポナ「そっか…でもまた会えると良いね。」

まめみ「うん。」

その後2人は地上へ戻った…すると広場の大きなモニターにテンタクルズが映っていて…

どうやら『フェス』の告知の様だ。

今回のフェスは『インナーvsアウター』どちらを着たいかというものである。

ポナ「俺は…インナーかなぁ…。」

まめみ「あたしはアウターにする。」

ポナ「ん…今回は分かれちゃったね…。」

まめみ「うん…でもお互いに楽しもうね、ポナ君。」

ポナ「うん。」

それから数日後…

夜のハイカラスクエアはフェスのお祭りムード一色で、みんなが楽しそうに盛り上がっている。

まめみ「あ、ポナ君!」

ポナ「わっ、まめみグレーになってる!」

2人のインクの色…インナーチームのポナはオレンジに…そしてアウターチームのまめみはグレーになっていた。

2人は広場で踊った後…それぞれフェスマッチを楽しんだ。

称号がえいえんになった後…広場で合流してテンタクルズの歌を楽しみ…

まめみ「喉渇いちゃった…。」

ポナ「ロブのお店で飲み物買ってくるよ、ここで待ってて。」

まめみ「うん、ありがとう。」

飲み物を買いにポナはロブのお店へ向かい、まめみは少し離れた場所で1人佇んでいた…。

すると…

ドンッ…

1人のボーイとぶつかってしまった…。

ボーイ「……………。」

ポナと同じくらいの身長の少年…フェスには参加していないようで、アナアキニットアオソデを着ていて…オシノビニットから覗く黄色の瞳とグレーの髪はどこか懐かしさも感じて……

まめみ「わ…あ…あの…ごめんなさい…!」

ボーイ「……その長いゲソ…桃色の瞳……。」

まめみ「え…?」

ボーイ「…もしかして…まめみ…?」

まめみ「ど…どうしてあたしの名前を…?」

ツネ「僕だよ…まめみ…。」

まめみ「……?」

ツネ「よく見て…僕の目に…見覚えがあるはずだよ…。」

そう言うと少年はオシノビニットを外して、まめみの瞳を真っ直ぐ見つめた。

黄色の瞳はジト目で……

幼い頃に遊んだグレーインクの男の子…その子もジト目で…瞳の色は……黄色…

まめみ「…ツっくん…ツっくんなの…!?」

ツネ「うん…僕だよ、まめみ…ほら、これ…。」

そう言うとツネは服の袖を少し上げて…右手首を見せた。

まめみ「あ、これは…あたしの髪飾り…また会えるようにって…約束の証の…!」

ツネ「そうだよ…ずっと大切に持ってた。」

まめみ「ツっくん…ツっくん!」

そう言うとまめみはツネに飛びつき、ツネもまめみを優しく抱き止めた。

ツネ「やっと…やっと見つけた…まめみ…!」

まめみ「ツっくん…やっと会えたね…!ふふっ…すごく大きくなったね…もうあたしの身長超えちゃってる…。」

ツネ「まめみだって大きくなったよ…それに…綺麗になった…。」

まめみ「ツっくんたら…ふふっ…。」

ツネ「その可愛らしい笑顔も全然変わってない…。」

そう言って優しく笑うツネも、子供の頃のままで…まめみは懐かしさと暖かさを感じた。

まめみ「でもツっくん、どうしてここへ…?」

ツネ「…うん、最近こっちに越してきて…1人暮らししてるんだ…。」

まめみ「そうなのね。あ、せっかくだから連絡先の交換しようよ!」

ツネ「もちろんだよ。」

2人はお互いの電話番号とイカラインの連絡先を交換した。

まめみ「これでいつでも連絡出来るね。」

ツネ「うん…………まめみ…。」

まめみ「どうしたの?」

ツネ「僕の……」

正面を向いて、彼女の瞳をしっかりと見て口を開いたツネだが…

ポナ「まめみ…?」

声のした方を見ると…そこには両手に飲み物を持って立っているポナの姿が…

近づいてくるポナを警戒してか、ツネは再びオシノビニットで顔を隠した。

まめみ「あ、ポナ君!」

ツネ「ポナ…君…?」

まめみ「あ、紹介するね…彼はポナ君、あたしの恋人なの。」

ツネ「………………!?」

そう言って頬を赤らめながらポナを紹介するまめみに、ツネの黄色の瞳は大きく見開かれ…彼の心には雷の様な衝撃が走った!

ポナ「まめみ…彼は…?」

まめみ「あ、ごめんねポナ君…幼馴染みのツっくん…ツネ君だよ。」

ポナ「そっか…君がまめみの言ってたツネだね…俺はポナ、よろしく。」

ツネ「…………………。」

そう言って挨拶したポナだが…ツネは無言のままで…

まめみ「あ、ツっくん喉渇いたりお腹空いてないかな、ちょっと待っててね!」

そう言うとまめみはロブのお店へ走って行き、その場にはポナとツネのみに…。

ポナ「…えっと…俺の顔に何か付いてるかな…?」

ツネ「…別に、ただ…君みたいな人がまめみの彼氏ね…。」

ポナ「…何か問題が?」

ツネ「…大あり。」

ふてぶてしいツネの態度に、ポナも段々と苛ついてきて…

ポナ「それってどういう…」

まめみ「お待たせー!」

何も知らないまめみが戻って来てしまった…。

ポナ「……………。」

ツネ「……………。」

無言でお互いに睨み合う2人…しかしまめみは気づかなくて…

まめみ「はいツっくん、これあたしからだよ。」

そう言ってツネに食べ物と飲み物の入った袋を渡した。

ツネ「ありがとう、まめみ。…でもごめんね…用事があるから今日はここで帰るよ…。」

まめみ「ん…そうなのね…残念…。」

ツネ「また今度…連絡するね。」

まめみ「うん、分かった。」

ツネ「それじゃあね、まめみ。」

まめみ「うん、またねツっくん。」

ツネはそのまま帰り、まめみはずっと手を振っていたが…

ポナ「……………………。」

無言で険しい顔をしているポナの姿がそこにあった…。

その後、飲み物を飲んで休憩していたが…飲み終えてゴミ箱に捨てた所で、突然ポナがまめみの手首を掴んで物陰へ…

まめみ「ポナ君…どうしたの……んっ……!」

突然キスをするポナ…そのまま角度を変えて何度も何度もまめみにキスをして…

ポナ「まめみ…大好き…。」

まめみ「ポナ君ったら…どうしたの…?」

ポナ「まめみは…?」

まめみ「あたしも大好きだよ…。」

はにかんで答えるまめみに、ポナは満足気に笑って優しく抱きしめた…。

しかし…それを陰から見ていたのは…

ツネ「………………………。」

彼の黄色の瞳は鋭く光り…握られた手は強い嫉妬の感情が籠もっているのだった…。

To be continued…