小説「緑風と桃花は愛を紡ぐ(試練編)」~警告~

夕方…1人歩くポナの姿があった。

ポナ「………はぁ…………。」

相変わらず調子の悪いポナ

しかしいつまでもまめみを拒み続けるのもつらい…

彼女の大好きなチョコケーキを買ったポナはまめみの家へ向かった

2人で食べながらお話して安らぎの時間を過ごそう…明日からは一緒にナワバリをやろう…そう思っていた。

しかし…ポナが家に行き、気づかれないように合鍵でそっと家に入ると玄関には『オルカHIサンセット』がある…この前ツネが履いていた靴だ

ドクン…ポナは背中に嫌な汗が流れるのを感じる…

纏わりつく不安を胸に足音を立てぬ様にそっと奥の部屋へ…まめみの部屋へ向かって歩き出した

同じ頃…

ツネ「ねぇ…まめみ…。」

まめみ「どうしたの、ツっくん。」

ツネ「まめみに膝枕して欲しい…。」

まめみ「うん、いいよ。」

ツネ「ありがとう…体調崩してごめん…。」

まめみ「大丈夫だよ、ツっくん今は熱があるんだからゆっくり休んでね。」

まめみに膝枕をしてもらい…ツネは安心感に包まれた…そしてまめみは、まだ熱のあるツネの頭を優しく撫でていた

その様子を開いていた扉の隙間から見ていたのは……

ポナ「………………………。」

まめみ……俺よりもツネがいいのかな……

……………………

ポナは何も言わず、そっと家を後にしたのだった

家に戻る途中で口にしたチョコケーキは、いつもまめみが一口食べさせてくれる時の甘い味とは違ってほろ苦い味がした…。

彼女の看病もあってツネは2日後には回復して自宅へ戻り、まめみは家でのんびり過ごした

それから数日後…ポナは単身バイトへ

とぐろ「ポナ!」

バイト終了後、帰ろうとしてたポナの背後からとぐろの声がした

ポナ「とぐろさん…テツさんまで…どうしたの?」

とぐろ「ポナ…まめみとは喧嘩したりしてないか…?」

ポナ「………してないよ…。」

テツ「実は、俺達お前に大事な話があって来たんだ。」

ポナ「大事な話…?」

とぐろ「この前まめみの家に行ったんだ…その時、幼馴染みが熱を出して看病してるって言うんですぐに帰って来たんだが…その幼馴染みの名前は分かるか?」

ポナ「ツネ…っていう名前だけど…。」

テツ「ツネ…とぐろ!」

とぐろ「あぁ…間違いないな!」

ポナ「一体どういう事なのかな…?」

とぐろ「ポナ、そいつには気をつけた方がいい!」

ポナ「え…?」

テツ「ツネという奴はあるお方の孫で、まめみを狙ってる。」

ポナ「………………!」

とぐろ「それを伝えたかったんだ、あっしらに出来る事は限られちまう…まめみを守れるのはお前さんだけだ…じゃあな、ポナ。」

そう言ってとぐろとテツは海へ戻って行き、帰りの船の中ポナは考えていた…

ツネはまめみの幼馴染み

そして『あるお方の孫』

確かタコワサの孫も、まめみの事を知っていて…

…………………!!

ドクン…ドクン…!!

まさか…まさか……!!

ポナの全身を悪寒が襲い…鼓動は煩いくらいに早く…

ポナ「まめみ…!」

一刻も早くまめみに会わなければ…そして話さなければ…!

船の中でポナは早くクマサン商会へ戻るのを祈った。

その一方…1人でハイカラスクエアに向かうまめみだったが…何だか様子がおかしい

まめみ「はぁ…はぁ…熱い…。」

頭がぐらぐらして、体が熱い…

どうやら今度は自分が熱を出してしまった様だ…

どこか休む場所を…そう思ってふらふらしながらも歩くまめみだったが…

ぐらっ…足下から力が抜けて倒れていく…

すると…

ツネ「まめみ!」

倒れそうになったまめみを、ツネが優しく抱き止めた。

まめみ「ツっくん…あた…し…………………。」

ツネ「……………。」

熱でそのまま気を失ったまめみを、ツネは抱き上げて自宅へ向かって歩き出した

しばらくして…ツネは自宅に着くと自室のベッドにまめみを寝かせた。

しかし…

ピロロロロン…まめみのイカスマホからイカラインの着信音が鳴っている…

画面を見ると、そこには「ポナ」の文字が…

ツネは何も言わず、イカスマホの電源を切ってリビングのテーブルへ置いてしまった。

一方ポナは…

『おかけになった電話は電波の届かない所にあるか……』

ポナ「まめみ…電源が切れてる…!?」

家に行っても居ない…まめおに連絡を取ってもお店には居ないと言う…ポナは心配で心配で堪らなかった…。

しばらくして…

まめみ「う…ん……。」

ツネ「まめみ。」

まめみ「ツっくん……あた…し…。」

ツネ「覚えてる?倒れちゃったんだよ。」

まめみ「そう…だ…あたし…倒れて…寸前でツっくんが助けてくれて……。」

ツネ「…まめみ…。」

名前を呼ぶと、ツネはまめみのおでこに自身のおでこを当てた。

まめみ「……………!」

すぐ目の前にあるツネの顔…彼の黄色の瞳は自分を心配しつつも不思議な雰囲気を醸し出していて…まめみは意識してドキドキしてしまう…。

ツネ「酷い熱…今度は僕が看病する番だね。」

まめみ「ツっ…くん…。」

ツネ「大丈夫、僕がまめみの傍に居るよ…今お粥を作るから安心しておやすみ。」

まめみ「う…ん…あり…がと…。」

ドキドキは残っていたが、そう言って撫でてくれるツネの手は心地よくて…まめみは安心感を覚えたのと同時にそのまま眠りについた。

一方でポナは…スルメさんのお店へ行き、まめおにも事情を話していた。

まめお「とぐろさんとテツさんがそんな事を…それじゃあ、ツネはポナの予想通り…!?」

ポナ「間違いないと思う…!」

まめお「あいつ、俺がかけても全然繋がらねぇ…一体どこにいるんだ…!」

ポナ「俺、2人の家で待ってるよ…まめみが戻ってくるかもしれないし。」

まめお「あぁ、そうだな…内容が内容なだけにスー達には話せねぇ…俺達がヒーローだと言うことは知られてはいけないからな。」

ポナ「くっ…こんな時にヒーローである事が裏目に出るなんて…!」

まめお「ここから動けなくてすまねぇポナ…!」

ポナ「ううん、大丈夫だよまめお。」

まめお「俺も引き続き、まめみに連絡をしてみる。」

ポナ「分かった、俺も連絡するよ。」

まめお「頼んだぞ、ポナ!」

ポナ「うん!」

そう言って2人は別れ、まめおは店に…ポナはまめみ達の家に向かった。

To be continued…