小説「緑髪の少年(出会い編)」~外へ行こう~

シャワーを浴びた後ポナが着替えてリビングに行くと、まめみはエプロン姿で朝ご飯を作っていた

その表情は穏やかで…数ヶ月ぶりに見られた彼女の表情の変化に、ポナは心が暖かくなった。

そのままボーッと見ていたら、まめみがその視線に気づいて…

まめみ「あ…ポナ君、朝ご飯もうすぐ出来るよ…。」

ポナ「え…あ、うん…。」

お互いに頬を赤く染めて…ポナの瞳は青に変わり…ドキドキしていた。

…ポナ君の事は…大好きな友達…でも今は…

…けど…あたしにはまめおが…

………………

桃色の瞳は、まめみの心を現す様に揺れていた…。

その後朝食が完成し…

2人「頂きます。」

手を合わせて食べだしたが…お互いに恥ずかしくて目を合わせられない…。

しかし…その沈黙をポナが破って口を開いた。

ポナ「あの…まめみちゃん…?」

まめみ「あ…えと…な…何?」

ポナ「えっと…あの……もし…もしよかったら…今夜、僕と少しだけ外に出ない?」

まめみ「…外に…?」

ポナ「う…うん…。」

まめみ「………………。」

ポナ「…夜なら、暗いからあまり人もいないし……僕、まめみちゃんに見せたい物があるんだ。」

まめみ「見せたい物…?」

ポナ「うん。それはね…夜じゃないと見れないの。…ダメかな…?」

まめみ「……夜なら…大丈夫…かな…。」

ポナ「ほ…本当に…!?」

まめみ「う…うん…。」

ポナ「嬉しい…!…でも…無理は絶対にダメだよ。つらくなったら、すぐに帰るから僕に言ってね。」

まめみ「うん…。」

少し不安げな表情のまめみだったが…ポナの嬉しそうな様子と暖かい言葉に、頬を赤く染めながら安堵の表情を見せた。

昼間は家の中でブキの手入れをしたり、2人でゲームをして仲良く過ごした。

そして夜…

前にまめおと3人で買ったF-190を着た後にポナに連れられて、まめみはゆっくりと外へ出た。

ポナと出会った春…共に過ごした夏…そして…夏の終わりにあの悲劇が起きて…

その間に季節は巡り、冬になり始めていた。

ポナは耳が寒くない様にヒーローヘッズレプリカを当てて、まめみはオクタグラスを頭にかけた。

そしてF-190の帽子を深々と被り、顔を隠した。

ポナ「寒いね…大丈夫…まめみちゃん?」

まめみ「う…うん…。」

とはいうものの…まめみは僅かに残る緊張と恐怖心で、タコゾネスブーツを履いた足元は震えていた…。

ポナ「やっぱり止めておこうか…?」

まめみ「ううん…怖い…怖いけど…行きたいの…。」

ポナ「分かった、僕がずっと手を繋いでるからね。」

まめみ「うん…。」

心配するポナだったが、まめみの強い決意を宿した瞳を見て…そのまま目的の場所へ向かう事にした。

繋いでいるポナの手は大きくて温かくて…まめみは安心感に包まれた。

ハイカラシティを抜けて…向かった先は…モンガラキャンプ場。

昼間のナワバリバトルを終えたキャンプ場は、クラゲ達のキャンプファイヤーの炎が綺麗に輝いている。

ポナ「ここだよ。もう帽子は取っても大丈夫、ここにはまめみちゃんと僕以外は誰もいないよ。」

まめみ「…ここって…ポナ君、真っ暗で何もないよ?」

ポナ「まめみちゃん、上を見て。」

まめみ「上…?」

ポナに言われた通り、上を見ると…

そこにはたくさんの星が輝いていた。

ポナ「どうかな?」

まめみ「すごい…綺麗…!」

夜空に輝く色とりどりの星。

ハイカラシティでは…自分の家ですら、こんなに綺麗な夜空は見られないだろう。

まめみは今まで見た事の無い綺麗な夜空に、桃色の瞳をキラキラと輝かせて眺めていた。

ポナ「ここ…僕のお気に入りの…秘密の場所なんだ。」

まめみ「ポナ君の?」

ポナ「うん。…正確には、僕と「姉」の2人だけの秘密の場所かな。」

まめみ「姉って…ポナ君、お姉さんがいるの?」

ポナ「うん、今まで言ってなかったけど…僕には2つ歳上の姉がいるんだ。」

まめみ「そうなんだ…どんなお姉さんなの?」

ポナ「優しい人だよ。「ペコ」っていう名前なんだけど…珍しい「白インク」なんだ。」

まめみ「白インク…!?確かに珍しいね…!」

ポナ「最近は会ってないけど、元気にしてるかなぁ。」

まめみ「お姉さんと、よくここで見てたの?」

ポナ「うん、眠れない時や悲しい事があった時…2人でこっそり家を出ては見に来てたよ。あ…まめみちゃん、足元を見て。」

まめみ「わぁ…!!」

足元を見ると…水面に反射した夜空が映し出されていて…!

キラキラと輝いて、とても綺麗だった。

ポナ「これも僕のお気に入りなんだ。」

まめみ「綺麗…すごい…!!」

ポロッ…

まめみの頬を伝って…涙が零れ落ちた。

ポナ「まめみちゃん!?…つらくなっちゃった…?」

心配して瞳の色が青に変わるポナだったが…彼女の返事は全く違うものだった。

まめみ「ううん…違うの、すごく綺麗で…涙が出ちゃったの…。」

ポナ「そうなんだね、よかった。」

まめみ「…ポナ君、こんな素敵な場所…お姉さんと2人だけの秘密の場所なのに…私に教えて良かったの…?」

ポナ「うん、いいんだよ。まめみちゃんだから教えたかったんだ、僕の大好きな人だから。」

まめみ「ポナ君…!」

ドキン…ドキン…

まめみの心はまた大きく揺れた…

まめおがいるのに…どんどんポナ君に惹かれていく…

ポナ君をもっと知りたくて…ずっと抱きしめて温もりを感じていたくて…

ドキドキが…止まらない…

それどころか…このまま時間が止まってしまえばいいのにとすら…

……………

まめお……あたし…ポナ君が…

To be continued…