メタナイトがお相手の読み切り小説
※時系列やお話の流れ、一部のセリフは本編と同じですが、本編とは一切関係無いです
メタナイト「夢の泉に星が落ちてきたと聞いて飛んできたが…その者は?」
アイシェ「メタ…ナイト…。」
カービィの世界に転生した少女アイシェは、あの日デデデ城でメタナイトと出会った。
デデデ「お前はほとんど記憶が無ぇみたいだが、生前は親からたくさんの愛情を貰ったんだろうな。」
バンワド「アイシェを見ていれば分かるよ、とっても優しい雰囲気が伝わってくるしね。」
カービィ「難しい事はよく分かんないけどさ…アイシェが友達なのは変わらないし、みんなで一緒にご飯食べたらデデデ達もアイシェの友達だよ!」
アイシェ「ありがとう、カービィ…バンワドくん、大王さま、メタ…さん。」
メタナイト「メタさん…か、悪くない。」
初対面では怪しんでいたメタナイトだったが、彼女の記憶を聞いてからは打ち解け…
いつしか恋心を抱く様になっていた
それはアイシェも同じで、彼の厳しくも優しい部分に惹かれていき…2人は強い絆で結ばれていった。
ある日、ポップスターにローアという船が不時着し…船の持ち主である旅人マホロアを助ける為、カービィ達と共に冒険へと出る決意をしたメタナイトにアイシェは不安な様子を見せつつも送り出してくれたが…彼女はこの冒険の行く末を知っている事にメタナイトは気づいていた。
しかし必ずしも同じ結末になるとは限らないと彼女に伝え、旅立った先で事件は起きた…クッキーカントリーで取り残した1つのエナジースフィアがキッカケでアイシェはスフィアローパーに襲われて大怪我を負い、マホロアに助けられたのだ
メタナイト「アイシェ!」
アイシェ「すぅ…すぅ…。」
眠る彼女は腕と耳に包帯を巻いていて痛々しく…取りこぼしさえ無ければ彼女を危険な目に遭わせずに済んだと己に怒りすら覚えた。
二度と彼女を危険な目に遭わせたくない…そう決意したメタナイトは戦艦ハルバードへ戻り、一晩かけて彼女への贈り物を用意した
メタナイト「アイシェ、これを。」
アイシェ「メタさん、これは?」
メタナイト「通信機だ、危険を感じた時にこれを開いて連絡して欲しい。」
それはハートの形をした通信機チャームで、何かあった時に連絡を取れる様にと彼女の羽織っているケープのリボンにそれを付けた。
アイシェ「メタさん、ありがとう。」
メタナイト「どういたしまして。本当なら私が傍で守りたいが…代わりにそれがアイシェを守ってくれるだろう。」
頬を赤く染めて喜ぶアイシェに、仮面の下で自然と表情が緩むメタナイト
言葉で伝えなくても、2人の間には確実に愛が芽生えていた。
その後も冒険は順調に進み、異空間の先…マホロアの故郷だという「ハルカンドラ」へ向かう直前、メタナイトはアイシェを外へ連れ出した。
アイシェ「メタさん、どうしたの?」
メタナイト「…この先は我々の世界とは違って何が起きるか分からない、だからこそ其方に伝えておきたいのだ。」
アイシェ「私に?」
メタナイト「アイシェ…私は其方を愛している。」
アイシェ「メタさん…!」
突然の告白に、アイシェの青い瞳は驚きで見開かれ、その頬は真っ赤に染まった
メタナイト「旅先でも、いつもアイシェの事を考えている…怪我をしていないか…辛い思いをしていないか…いつでも私が傍に居て守りたいと…。」
アイシェ「メタさん…嬉しい…すごく嬉しい……私も貴方を愛…してます…。」
メタナイト「アイシェ…!」
相変わらず頬を真っ赤に染めつつ、涙を流しながら気持ちを伝えてくれるアイシェが可愛く愛おしく…メタナイトはそっとアイシェを抱きしめた。
アイシェ「メタさん…少しの間だけでいいの…このままぎゅってしてて…。」
メタナイト「あぁ…時間の許す限りずっとこうしている。」
しかし、それを陰から見ている者が1人…
マホロア「………………。」
メタナイトがアイシェに惹かれていた様に、マホロアもまたアイシェに惹かれていた
気持ちの自覚をしたのは先日2人で海に行った時…それ以来マホロアは彼女に気づかれない様に執着し、その気持ちは純粋な愛と言えるものではなく「支配欲」に近いもので…
彼女はメタナイトを愛している…しかし、アレを手に入れてしまえば自分のモノ
心なんて体と一緒に支配してしまえばいい…自分の元にさえ居てくれればそれで…マフラーの下でマホロアの口元は弧を描き、その黄色い瞳は弓なりに細められて…誰にも聞こえない様に静かに笑った
アイシェ「え、何…を………!?」
マホロア「ボク、これから大事な用事があってネ…アイシェにはアップルティーに入れたこの眠り薬デ、しばらく眠っててもらうヨ。」
アイシェ「マホ…ロ…ア…!」
ハルカンドラで、マホロアは彼女のアップルティーに眠り薬を仕込んで眠らせた後…カービィ達が「ランディア」を倒すのを待っていた。
そして彼はついに本性を現し、目的のアレである「マスタークラウン」を被って覇王となったのだ。
マホロア「まずハ、手始めにキミらの星「ポップスター」から支配してアゲルヨォ!」
メタナイト「そんな事はさせない!マホロア、アイシェはどうした!!」
宝剣ギャラクシアを向けるメタナイトの黄金に輝く瞳は鋭く、赤く変化したマホロアの瞳を真っ直ぐに睨み付けている
気に入らない…こんな男にアイシェは…
嫌悪感を示したマホロアだが、すぐに瞳を弓なりに細めて笑い出し…
マホロア「彼女はボクのモノ…誰にも渡さずにずーーーっと永遠にボクだけの傍に居るんダ…クククッ…想像したダケで最高の気分ダヨォ。」
そう言った瞬間、メタナイトの瞳は小さくなり…明らかに動揺しているのが分かる
それを見たマホロアは心底愉快な気分で、彼をもっと絶望に落としてやりたいとすら思っていた。
メタナイト「アイシェには指一本触れさせない!」
そう言ってメタナイトは地を蹴って斬りかかったが…
マホロア「リフバリア。」
カキンッ!!
メタナイトの攻撃はあっさりと防がれ、弾き返された彼は地面に叩き付けられ…それを見たマホロアは優越感に浸る
メタナイト「ぐっ…!」
デデデ「メタナイト!」
バンワド「大丈夫!?」
メタナイト「あぁ…だがアイシェが…!」
カービィ「ダメだよマホロア、そんな事したらアイシェは悲しんじゃう…!」
マホロア「ハァ~………こんな所デいつまでも話してルのも時間の無駄ダヨ、ボクは早くポップスターを支配シテ、アイシェと2人きりノ時間を作らないトネッ!」
自分で開けたディメンションホールに入り、まずはローアに向かい…起きてきたアイシェを迎えた。
アイシェ「マホロア…それ…外して…。」
マホロア「可笑しな事を言うネェ…今のボクは王様ダ、キミという最高のお姫様を迎えに来たんダヨ?」
アイシェは王冠を外す様に言ってきたが、今のマホロアには変な事を言っているとしか思えず…
彼女の髪を愛おしそうに触りながら手櫛でサラサラと梳いてみても、怯えて震えるばかりで…
アイシェ「っ……!」
マホロア「キミはボクと永遠に一緒ダ、アイシェは大切な宝物ダカラ、ボクの傍に大事に置イテおかないトネッ!」
アイシェ「っ…い…や…!」
マホロア「ドウシテ怖がってるんダイ?」
アイシェ「違う…こんなの違う…私の知ってるマホロアじゃない…!」
そんな事を言い出すものだから、マホロアは可笑しくて堪らなかった。
マホロア「キミの知らないボクもたくさん居るんだヨォ…コレからじっくりと教えてアゲルヨ?」
アイシェ「嫌っ…!」
そう言いながらアイシェの体に手を伸ばすと、パシッ!と手を振り払い部屋へ逃げ込んで行く
マホロア「…反抗的なアイシェには、チョットばかりお仕置きが必要カナ?」
そう言いつつも、最早アイシェの行動は自分を誘っている様にしか見えず…マホロアは心底嬉しそうに部屋へと向かった。
しかし、いざ部屋へ向かうと…アイシェは誰かと話している
アイシェ「メタさん、マホロアを止めて…このままだと彼は…」
メタナイトと話している
それだけでもマホロアの嫉妬を膨れ上がらせるのには充分だった
マホロア「何をしてるんダ。」
アイシェ「ひっ…!」
大きくなった体から出てくるのは恐ろしい位の低い声で…怒りの感情が籠もっているから、アイシェは更に恐怖を覚える
その小さな手に握られているハートの形のチャーム…それで連絡を取っていたんだと確信したマホロアは、それを取り上げ…
マホロア「メタナイトがプレゼントしてたヤツ…通信機だったんダネェ…余計な事をするナ。」
パキッ…握り潰して2つに割ってしまえば、彼女の瞳は恐怖と絶望に染まる
アイシェ「あ…あぁ…!」
マホロア「ボク以外ノ男と喋るナ。」
アイシェ「そん…な…だってメタさんは…。」
マホロア「キミはボクだけ見てればイイヨォ。」
アイシェ「きゃあっ!」
割れたチャームの欠片をマフラーのベルトの裏にしまい、アイシェを魔法で持ち上げてやや乱暴にベッドに落とせば…彼女は軽く悲鳴を上げる
マホロア「悪い子なアイシェにハ、お仕置きしなキャネ。」
ベッドの上でする事はただ一つ、彼女の上に覆い被さればベッドはギシ…と音を立てて軋む
アイシェ「マホロア…嫌…っ…!」
そう言って抵抗するが、魔法で拘束しているので意味は無く…それでも抗おうとする姿にゾクゾクと興奮を覚える
マホロア「キミに拒否権ナンテ無いヨ。」
アイシェ「っ…んっ…マホロア…やめて…!」
彼女の耳に顔を近づけて、耳をむにむにと触れば甘い声が漏れて…アイシェは否定しているが、自分を誘っている声にしか聞こえないマホロアは興奮して息を荒げ…
マホロア「ハァ…ハァ…アイシェ…可愛いヨォ…ボクの…ボクだけのアイシェ…。」
彼女の首筋に唇を這わせていく
アイシェ「マホ…ロア…!」
アイシェは頬を真っ赤に染めつつも恐怖で震え、自分を見るその青い瞳は絶望と恐怖に満ちて大粒の涙を流している…
しかしそれすらもマホロアの興奮を誘い、全身をゾクゾクと気持ち良さの電流が駆け巡る
やっと手に入れた愛しの少女…まずは体を支配し、徐々に心も支配していけば…彼女は永遠に自分のモノ…2人きりの未来が待っている
満足感に満ちていたマホロアだが、カービィ達が追いついてきた事を察知すると残念そうにアイシェから離れて口を開いた。
マホロア「……せっかくこれカラお楽しみの時間なの二…カービィ達がモウ追いついちゃっタ…。」
アイシェ「(みんな…!!)」
アイシェはカービィ達を…そして最愛の人を心配する表情をしていたが、マホロアは彼女の耳に顔を近づけて…
マホロア「アイシェはこの中デ大人しくしてテネ、全てが終わっタラ…キミは今度こそ、身も心も全てボクのモノダヨ。」
アイシェ「っ………!!」
そう伝えれば、アイシェは再び恐怖で支配されて…
マホロア「そうダ、アイシェにボクのモノだという証を付けテおかないトネ。」
アイシェの左耳に黄色で縁取られた青いリボンを結び、魔力が凝縮されたシャボン玉の様な物に彼女を閉じ込めると…そのまま自身のローブの中にしまってアナザーディメンションへ向かった。
ローアを使役してカービィ達と戦わせたものの、彼らは諦めずに立ち向かって来て…ローアを撃墜された。
その後もしつこく追って来たので、魔力球でランディアから落とした上で正面から対峙する事にした。
メタナイト「アイシェを返すんだ、マホロア!!」
再び剣を抜いて刃先を向けるメタナイトに、マホロアはフンと鼻で笑い…
マホロア「言ったダロォ、アイシェはボクのモノダッテ…ククッ…彼女の体は柔らかくていい香りダネェ。」
メタナイト「なっ…!?」
マホロア「アレェ~仮面の剣士様ハ、触れた事が無かったのカナァ?」
メタナイト「貴様、アイシェに何をした!?」
マホロア「チョットダケお楽しみをネェ…キミ達が邪魔をしなけレバ、あのままアイシェの体を…ネェ?力を手に入れたボクの手デ彼女の身も心も……ククク……フフ…フフフフフ……アーハッハッハッハッハッ!!」
そう言って赤い瞳を弓なりに細め肩を揺らして笑うマホロア…その表情は狂気に満ちていて…メタナイトの腸は煮えくり返った
メタナイト「貴様の様な卑劣な下衆が触れる等…絶対に許さん!!」
そう言ってメタナイトは再び地を蹴ってマホロアに斬りかかるが、魔力球で弾かれ…両者は距離を取る
カービィ「メタナイト、ボク達も援護するからキミはアイシェを!」
メタナイト「分かった!」
マホロアと対峙している時からアイシェの気配を感じていたメタナイトは、彼がどこかに隠していると確信していて、猛攻に耐えつつ戦いながら彼女の姿を捜した!
マホロア「ボクの…邪魔をするナァァァァーーーー!!」
突然そう叫ぶとマホロアの目つきは変わり、攻撃は激しさを増した
それでもメタナイトは諦めずに戦い続け…
メタナイト「アイシェ、どこだアイシェ!!」
その声はローブの中に居るアイシェにも聞こえていて…
アイシェ「メタ…さん…メタさん!!」
ドンドンと中から叩いてみるがびくともせず…それでもアイシェはメタナイトの名前を叫んだ
マホロア「アイシェ…他の男の名前ナンテ呼ぶなヨォ!!」
カービィ達に聞こえない位に小さく低い声でそう囁くマホロアに恐怖で震えるアイシェ…それでも一生懸命中から叩いて…小さい声で呟いた
アイシェ「メタさん…助けて…!!」
すると!
メタナイト「アイシェ…アイシェ、そこに居るのか!?」
先程よりも強くアイシェの気配を感じたメタナイトは、マホロアに向かって叫んだ!
アイシェ「メタ…さ…ん…!」
メタナイト「アイシェ、今助ける!」
マホロア「来るナッ!!」
地を蹴って飛び上がったメタナイトを迎え撃つマホロアだったが…
それらを素早い動きでかわし、そのままシャトルループで斬りつけた!
ズバッ!!
ボタボタッ…マホロアの体からは赤い血が零れ落ち、次の攻撃で止めを刺せる状態だった。
しかし…
マホロア「コレ位でやられるボクじゃないヨッ!!」
そう叫んだ直後、マホロアは自身の体をリフバリアで覆ってしまった!
メタナイト「くっ…!」
バンワド「マホロアが無敵になっちゃった!」
メタナイト「あぁなっては我々の攻撃が通じない…!」
デデデ「あの野郎、どこまでも卑怯な手を…!」
しかし、その衝撃でローブの中から出てきたのは…アイシェ!
アイシェ「みんな!」
カービィ「アイシェ!」
マホロア「クッ…今の防御の衝撃デ…!」
彼女に更に強い魔法をかけて強化をしたマホロアだが…アイシェは中から一生懸命叩いて何かを叫んでいて…
アイシェ「メタさん…メタさん!!」
メタナイト「アイシェ…ぐっ…うぅ…!」
激しい戦闘でメタナイトの体力は消耗していて…体も傷だらけで呼吸も荒い…そんな彼の姿を見て、カービィが前に立ち口を開いた。
カービィ「ボクに任せてメタナイト、マホロアを必ず止めるから!」
メタナイト「カービィ…!」
バンワド「ボク達も居るよ!」
デデデ「お前はアイシェを助け出す事に専念しろ!」
メタナイト「バンワド…大王…すまない、頼んだ!」
ゆっくりと立ち上がったメタナイトはアイシェの元へ向かい…
マホロア「ヤメロ、アイシェに近づくナ!!」
怒ってメタナイトに攻撃しようとするマホロアだが…
デデデ「おっと、俺様達の事を忘れてねぇだろうな?」
バンワド「ボク達が相手だ!」
カービィ「アイシェとメタナイトを傷つけさせないよ!」
マホロア「グッ…オノレ…オノレェェッ!!」
怒り狂うマホロアの攻撃をカービィ達が受け止めている間に、メタナイトはアイシェの元へ辿り着いた!
アイシェ「メタさん!」
メタナイト「アイシェ、今助けるからな!」
そう言ってメタナイトは斬りつけたが、マホロアの強い魔力で護られていてびくともしない…
アイシェ「メタさん…!」
メタナイト「私は諦めない…アイシェ、必ず助ける!」
カキンッ!ガキンッ!!
何度弾かれても、メタナイトは諦めずに斬りつけ続けた
アイシェ「メタさん…メタ…さん…!」
ボロボロの体に鞭打って、一生懸命自分を助けようとするメタナイトの姿にアイシェは青い瞳から大粒の涙を流した
すると、カービィ達の方で変化が起きて…
スーパーコピー能力を得たカービィがマホロアのリフバリアを次々と壊して行き、止めの一撃を放ったのだ!
マホロア「グッ…ウアァァァーー!!」
メタナイト「今だっ!」
そう言ってもう一度斬りつけると…
パキッ…ビシビシ…!!
シャボン玉の様なバリアにヒビが入り…次の瞬間にパアンッ!と音を立てて割れた
アイシェ「メタさん!」
メタナイト「アイシェ!」
解放されたアイシェは立ち上がってメタナイトの元へ行こうとしたが…
ゴゴゴゴゴ…!!
地響きの様な大きな音が響き…マホロアの体が光に包まれて…
次の瞬間!
マホロア「アイシェェェェェェーーーー!!」
マホロアが地面を勢いよく這ってきて…大きな手でアイシェを掴んだ!
アイシェ「きゃあぁぁぁっ!!」
メタナイト「アイシェ!!」
アイシェ「メタさん…!」
メタナイト「アイシェ…!」
2人は手を伸ばしたが、後少しの所で届かず…そのままアイシェはマホロアの手に持ち上げられた!
そして光に包まれているマホロアは…徐々にドロリとした禍々しい緑の炎の様な何かに包まれて…
銀色に変化したマスタークランが絡みつく丸くて暗い緑色の体…ドラゴンにも影にも見える翼を広げ、大きく裂けた口から覗く真っ赤な1つ目はアイシェをギョロリと見つめている
「マホロアソウル」の姿がそこにあった!
アイシェ「マホ…ロア…!!」
友達として彼を止められれば…その願いも虚しく、彼はクラウンに支配されて悍ましい怪物へと姿を変えてしまった。
マホロア「グ…オォ…ォ…!」
悍ましい声を上げるマホロアはアイシェを掴み、彼女の小さな体は彼の大きな緑色の手の中でミシミシと音を立て…その表情は苦痛で歪む
アイシェ「うっ…あぁぁ…苦…し…!」
メタナイト「アイシェ!止めろマホロア!!」
マホロア「グッ…アァ…アイシェ…キミ…ハ…ボクダケノ…モノ!!」
アイシェ「っ………!!」
最早マホロアを支配しているのは「憎悪と支配」そしてアイシェに対する「執着」そのもの…
アイシェを自身の中に取り込む事で、自分のモノにしようとしているのだ!
カービィ「マホロア!」
マホロア「ワタサナイ…ダレニモ…ズットボクダケノソバニ…!」
片手でアイシェを掴んだまま激しい攻撃をしてくるマホロアだが、カービィ達は諦める事無く立ち向かった!
バンワド「アイシェはモノなんかじゃない!」
デデデ「アイシェを離せ!」
カービィ「マホロア、もうこんなの止めようよ!」
マホロア「ダマレ…アイシェハボクノモノォ…!」
アイシェ「カービィ…もうマホロアはク…ラウン…そのものになって…る…頭のクラウンを…壊…して…彼の魂を解き…放ってあげ…て…!」
カービィ「アイシェ……分かった!」
苦しさで顔を歪めつつもアイシェがそう伝えると、カービィは涙を拭いつつもキリッとした表情で答えてマホロアに立ち向かった!
マホロア「アイシェハワタサナイ…ボクイガイニハ…ダレニモサワラセナイ!!」
アイシェを大事そうにしつつも、マホロアは激しい攻撃をぶつけて来るが…一瞬の隙を狙ってメタナイトが飛び上がり…
メタナイト「アイシェ、目を瞑れ!」
アイシェ「は…はい!」
突然そう言われたアイシェは驚きつつも言われた通りに目をぎゅっと瞑り…
メタナイト「…哀れな者よ………思い知れ!」
そう言ってマントを翻したメタナイトは、ダークネスイリュージョンを繰り出して…マホロアソウルの赤い目玉にギャラクシアを突き刺した!!
マホロア「ウッ…グゥ…グワァァァァァァァーーーーーー!!」
メタナイト「今だ、カービィ!!」
悲鳴に近い声を上げて苦しむマホロアソウルから離れ、メタナイトはカービィの方を向いて叫んだ!
カービィ「分かった!マホロア…今、キミを助けてあげる!」
そう叫んでカービィはマスタークラウンを叩き割った!
マホロア「カァーービィィィィーーー!!」
そう叫んだマホロアソウルは、カービィの名前を叫びながら青緑の炎に包まれ…アイシェは彼の手から解放されてそのまま落ちて行き…駆けつけたメタナイトによって受け止められた。
アイシェ「メタ…さん…!」
メタナイト「アイシェ…よかった…!」
お互いに抱き合う2人だったが…
マホロア「アイシェ…アイシェェェ…ボクノ…アイシェ…ッ!!」
まるで呪文の様に何度もアイシェの名前を呼ぶマホロアソウルにアイシェは恐怖で震え…メタナイトも彼女を庇うようにマントで覆った。
マホロアは青緑の炎に完全に包まれた後に本来の姿に戻り、頭のクラウンは砕けてそのまま光の中へ消滅して、赤い目玉に刺さっていたギャラクシアはカシャンと音を立ててその場に落ち…メタナイトはそっと拾い上げて鞘に収めた。
そして…彼の居た場所には壊されたチャームの片割れが落ちていて…アイシェが触れると音も無く崩れ去り、左耳に結ばれたリボンも勝手にスルリと解け…そのまま消滅した。
アイシェ「マホロア…。」
メタナイト「…己の欲に溺れ、呪物に手を出した者の末路か…。」
アイシェ「救えなかった…もっと早くマホロアに話せていればこんな事にならなかったかもしれないのに…。」
メタナイト「いや…例えアイシェが話していたとしても、マホロアは聞き入れなかっただろう。」
アイシェ「メタさん…。」
メタナイト「無事で本当によかった…怖い思いをさせてしまってすまない…アイシェ……っ……!」
そう言って抱きしめるメタナイトの手と声は震えていて…アイシェはメタナイトの手をそっと握って口を開いた。
アイシェ「メタさんは助けに来てくれた…だからもう大丈夫。」
メタナイト「アイシェ…!」
アイシェ「…もう離さないで、メタさん…。」
メタナイト「あぁ…もう二度と離さない、これからはずっと傍でアイシェを守る。」
アイシェ「約束だよ。」
メタナイト「あぁ、約束だ。」
その後…ランディア達とローアによってアナザーディメンションを脱出したカービィ達は、無事にポップスターへ戻った。
その後は平穏が戻り…再び呆れかえる程に平和な日々が続いた。
ある日、アイシェはローアの墜落した場所に向かい…雲の夢を歌っていると、メタナイトがやって来た。
アイシェ「メタさん。」
メタナイト「マホロアの事を思っていたのか?」
アイシェ「うん。」
メタナイト「…ローアが彼は生きていると教えてくれたと言っていたな。」
アイシェ「うん、もしかしたらどこかで元気に暮らしてるのかもしれないね。」
メタナイト「正直、もう二度と現れて欲しくは無いというのが本心だ…其方に危険が及ぶのは嫌だからな…。」
アイシェ「…もしまた会えたとしても…きっと今度は大丈夫、本当の友達になれる気がするの。」
メタナイト「アイシェ…其方も本当に…。」
アイシェ「カービィみたいって言うんでしょう?」
そう言ってふふっと笑うアイシェに、メタナイトは仮面の中で黄金の瞳を細めて笑う。
メタナイト「あぁ。…だが、私はアイシェのその優しさに惹かれたのだ。」
アイシェ「メタさん…。」
メタナイト「これからはずっと一緒だ、私の傍を離れないでくれアイシェ…。」
そう言ってメタナイトはアイシェを少し強めに抱きしめた。
アイシェ「うん、離れない。」
メタナイト「アイシェ…愛している。」
愛おしそうにアイシェの名前を呼んで頬を優しく撫でると、メタナイトはそっと仮面を外した。
そしてマントでアイシェを覆い隠し…
アイシェ「メタさん…私も愛してるよ。」
マントの薄暗い闇の中で光るメタナイトの瞳に、頬を真っ赤に染めつつもそっと青い瞳を閉じたアイシェ
そして2人は優しくも熱い…甘い口づけをかわした。